研究課題/領域番号 |
21K05114
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
藤井 聡 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 助教 (40452825)
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研究分担者 |
竹中 繁織 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (60188208)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | G4特異的結合試薬合成 / G-quadruplex(G4) / 熱力学的結合解析 / ELISA |
研究実績の概要 |
グアニンリッチなDNAは、1本鎖の同鎖内もしくは2本や4本の異鎖間でG-quadruplex(G4)と呼ばれる4重鎖構造を形成する。G4はヒトゲノム内ではテロメア部分に多く存在していることが知られているが、近年プロモーターや5'-UTR、スプライシングサイトなど様々な遺伝子調節領域においてもG4が形成され遺伝子調節に関わっていると言われている。しかし、生体中での詳細なメカニズムはほとんど解明されていない。また近年ゲノム及びトランスクリトームの研究は次世代シークエンサの登場により急速に発展している。そのような次世代シークエンス技術と核酸構造を検出する小分子という分析化学技術を組み合わせて、生体中におけるG4の形成領域をゲノムワイドに検出する手法を開発することを目的としている。 令和3年度には、以下の研究を遂行した。 1)G4構造を特異的に検出できるビオチンラベル化環状ナフタレンジイミド(cNDI-biotin)の合成を行い十分な収量が得られた。 2)cNDI-biotinとG4形成配列であるテロメアDNA、c-mycとコントロールとして2本鎖DNAに対してITC測定で結合挙動解析を行ったところ、テロメアDNA、c-mycには有意な熱変化が観察され結合することが示唆され、一方2本鎖DNAにはほとんど結合しないことが示された。また、CDスペクトル測定では、G4形成配列のテロメアDNA, c-myc溶液にcNDI-biotinを添加するとスペクトル変化が示されたことからG4に結合していることが示唆された。 3) in vitro系においてG4形成配列とG4非形成配列に対するcNDI-biotin +FTIC修飾ストレプトアビジン, anti-bition抗体による認識能を蛍光法およびELISA法によって検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
G4特異的結合試薬合成および、熱力学的結合解析は順調に進んだ。 in vitro系でのELISAはcNDI-biotin + anti-bition抗体による検出能の検討のために実験を追加した。初年度にシーケンサまで行う予定であったが、シークエンサへ応用する前に検討をしておく必要があると判断して実験を追加した。
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今後の研究の推進方策 |
ELISAによる検討により、cNDI-biotin + anti-bition抗体による系では各ステップにおける洗浄条件等に課題があることが分かった。条件等の再検討を行い、検出系の確立を行う。それらの検討が終わり次第in vivo系でのゲノムワイド検出への応用を行っていく。
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