研究課題/領域番号 |
21K05120
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研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
椛島 力 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (20274673)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | FRET / メチル化酵素 / miRNA / アデニン / シトシン |
研究実績の概要 |
申請者は、分析化学分野で広く使用されている蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のバックグランドを大幅に低下させる方法を見出し、それを応用したDNA中のシトシンをメチル化する酵素の活性測定法を開発した。 本課題では、この方法をもとに、様々な疾患に関与するマイクロRNA(miRNA)およびエピジェネティクスに関与しているアデニンのメチル化/脱メチル化酵素の簡便で特異的かつ高感度な測定法の開発を目的としている。miRNAは様々な生命現象と関わっており、さらにバイオマーカーとしても注目されている。また、miRNAだけでなく真核生物のDNA中のアデニンもメチル化されることが報告され、その酵素も注目されている。しかし、これらの測定法は、特別な機器や試薬、煩雑な操作が必要である。本課題の目的とする測定法は、特別な機器や試薬を必要とせず、非常に簡便な測定法であり、生命科学や医療分野における汎用性の高い新たな解析ツールとなり得ると考える。 アデニンメチル化酵素については、エピジェネティクス研究で使用されているメチル化アデニンを認識して切断できる制限酵素とFRETを組み合わせた、新規活性測定法を開発中である。現在までに、アデニンメチル化酵素の活性に依存した蛍光を発する測定系が開発できており、さらなる測定条件の最適化を行っている。 miRNA検出系については、蛍光性の磁気マイクロビーズを使用して、miRNAの効率的な回収方法、および、蛍光検出の条件を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アデニンメチル化酵素については、FRETを応用した新規活性測定法が開発できており、現在、さらなる高感度化を目指して、測定条件の検討を行っている。 また、miRNAのFRETを応用した検出法についても、モデルRNAを用いた検出法が開発できており、現在、生体試料中のmiRNAの効率的な回収方法を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
アデニンメチル化酵素の新規活性測定法およびmiRNAのFRETを応用した検出法について、申請書に記載した方法により開発できた。今後、使用する試薬や基質の濃度、反応時間などの測定条件の検討を行い、さらに特異的かつ高感度な測定法の開発を目指す。また、生体試料中の酵素活性やmiRNAが測定できるか調査し、既存の方法と比較し、本研究課題で開発する測定法の有用性を確認する予定である。
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