研究課題/領域番号 |
21K05126
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
角田 欣一 神戸大学, 海事科学研究科, リサーチフェロー (30175468)
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研究分担者 |
堀田 弘樹 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (80397603)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 液液光導波路 / 液液界面 / 数値流体力学計算 / 電子移動反応 / 錯形成反応 |
研究実績の概要 |
本研究では以下の2つの研究課題を設定している。すなわち、I) LLWでの電子移動反応の観察、II) CFDシミュレーションを用いたLLWでの化学反応の解析、である。 本年度も、昨年度に引き続き、主として(II)について研究を行った。すなわち、本年度はLLWでの化学反応を広く理解するために、様々な拡散係数と反応速度定数を持つ反応に関してCFDシミュレーションを行った。すなわち、①酸塩基反応、②Al3+(コア)とルモガリオン(クラッド)との錯形成反応、③Cu2+(コア)とEDTA(クラッド)との錯形成反応、④ヘモグロビン(コア)と酸素(クラッド)が結合しオキシヘモグロビンが生成する反応、⑤ヒト血清アルブミン(HSA)(コア)と 8-アニリノ-1-ナフタレンスルホン酸(ANS)(クラッド)の会合反応、である。拡散係数には文献値および測定値を使用し、反応速度定数は大きさの異なるいくつかの値を仮定し、その影響を検討した。その結果、②、③などでは反応生成物の拡散係数が最もそのLLW内の分布に影響を与えることがわかった。また、反応速度は、LLW内の反応生成量には大きな影響を与えるが、その分布にはあまり影響しないことがわかった。一方、④と⑤を比較すると、ANSと酸素の拡散定数の違いにより、LLW内での分布に大きな違いが出ることがわかった。こうした特長は、将来、拡散定数の違いなどに基づくLLWを用いるスペシエーション分析への応用の可能性を示唆するものと考えられる。また、これらの反応のうち①、②、⑤についてはLLWで実際に検討を行っている。特に、②については昨年度の成果である蛍光イメージをシミュレーションする方法を用いて検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度までの主としてコロナ禍による遅れを取り戻すまでには至らなかったが、徐々に遅れは解消しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
(I)に関しては、本年度も検討を行えなかったが、これまでの結果を基に、より詳しくDPPHとAsAの反応をLLWにより観察する予定である。一方、(II)に関しては、前年度、および今年度のシミュレーションの成果をもとに、さらにLLWにおける①Al3+-ルモガリオン錯形成反応、および②HSAとANSの会合反応、について、さらに詳しくCFDシミュレーションおよびLLW実験を行い、相互に比較していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会参加のために用意した旅費などに、一部未使用があり、若干の繰越金が生じた。次年度、物品費などに追加し使用する予定である。
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