研究実績の概要 |
昨年度は以下の3件の論文を公表することができた。特に1と3の業績はテーマである天然酵素の超分子分析に深く関わりのあるものである。マウス肝臓などの生体試料中の超分子を非変性条件の2次元電気泳動法により分離し、それらを電気泳動によりさらに溶液状態で抽出し、超分子の構成成分や物性を調べることができた。特に、カルボキシルエステラーゼとトランスフェリンからなる超分子のエステラーゼ活性はFe2+により阻害されるが、トランスフェリンによりFe2+が捕獲されることにより、阻害が解除されることがわかった。これは超分子の生理的な役割を考察していくうえで重要な知見と考えらえる。 1)島﨑洋次、中尾香琳、福家麗. 非変性2次元電気泳動法によって分離、検出されたカルボキシルエステラーゼとトランスフェリン複合体の電気泳動的抽出. 電気泳動 (in press).2)Kenichiro Nagata, Ryo Ashikaga, Wakako Mori, Tamotsu Zako, Youji Shimazaki. Analysis of the enzymatic degradation of lysozyme fibrils using a non-denaturing gel electrophoresis and double staining with coomassie brilliant blue G-250 and R-250 dyes. Analytical Sciences 2023;39: 267-274.3)Karin Nakao, Youji Shimazaki. Electrophoretic extraction of protein complexes after separation and detection by a combined methods of non-denaturing two-dimensional electrophoresis and reversible staining. Journal of Electrophoresis 2022;66: 5-11.
|