研究課題
紫外光吸収により可視蛍光を発する蛍光性PSL (ポリスチレンラテックス) 粒子を光信号検出チャンバーに導入し、375 nmレーザーを照射して蛍光および散乱光強度測定を行った。単分散で球形の粒径0.5、1.1、2.1 μmの粒子からの蛍光強度および散乱光強度を同時に測定したところ、蛍光強度/散乱光強度比が粒径ごとに一定値となることが示唆された。シミュレーションにより各粒径の粒子の波長375 nmに対する散乱光強度を計算し、測定された蛍光強度/散乱光強度比とかけ合わせることで蛍光強度を求めた。この蛍光強度は粒径に依存して大きくなっており実験当初は粒子の表面積に依存していると考えていたが、一方で誤差も大きく、粒子の体積に依存しているとも考えられる。この結果については投稿論文にて報告した。蛍光分子であるNADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を水に溶解させネブライザーを用いて固体粒子を気中に生成した。分級装置を用いて粒径を一定にそろえた粒子粒子に375 nmレーザーを照射して蛍光および散乱光の強度測定を行った。粒径を変化させて各粒径での信号強度を測定したところ、粒径の増加ととともに各信号強度が増加した。この結果については理論的な考察と合わせて2024年度に学会発表を行う予定である。数種類の多環芳香族炭化水素についてエタノールに溶解させネブライザーを用いて固体粒子を気中に生成した。生成した粒子に375 nm レーザーを照射して蛍光および散乱光の強度測定を行った。アントラセン、フルオランテン、ペリレン、コロネンで生成した粒子において蛍光が観測された。今後、多環芳香族炭化水素の蛍光強度の粒径依存性や蛍光波長の詳細な解析を行うことで、大気エアロゾル粒子中の多環芳香族炭化水素の定量分析への適用が期待できる。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Journal of Aerosol Science
巻: 175 ページ: 106264~106264
10.1016/j.jaerosci.2023.106264