研究課題/領域番号 |
21K05158
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研究機関 | 阿南工業高等専門学校 |
研究代表者 |
山田 洋平 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 准教授 (70706936)
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研究分担者 |
薮谷 智規 愛媛大学, 紙産業イノベーションセンター, 教授 (80335786)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 溶媒抽出 / 過酸化水素 / 共沈殿 |
研究実績の概要 |
水酸化ランタンを担体とした共沈法により、4から6族元素(V, Nb, Mo, Hf, Ta, W)を回収した。沈殿は、吸引ろ過と孔径1.0マイクロメートルの親水性PTFEメンブレンを組み合わせて回収した。回収した沈殿に種々の溶離液を通液し、各元素の溶離挙動を評価した。その結果、溶離挙動と族番号の間に関連が見られた。6族は水酸化ナトリウム水溶液のみで溶離したのに対し、5族は過酸化水素を添加した水酸化ナトリウム水溶液で溶離した。また、4族は上記の溶液では溶離せず、硝酸による沈殿の全溶解により回収した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、多成分共存溶液から4から6族元素を簡易に分離することを目的の一つとしている。実績の概要で述べたように、同族元素が類似した溶出挙動を示すことを確認した。このとき、溶離液への塩基や過酸化水素の添加効果は明確であり、低濃度から溶離作用を生じさせることが分かった。一方で、塩基や過酸化水素の濃度を高めたり、溶離液の液量を増やすことは、溶離率の向上にあまり寄与しないことも分かった。現在の検討条件では、ほとんどの元素の回収率は20%から40%程度に留まっている。
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今後の研究の推進方策 |
共沈法を用いた場合、通常であれば回収した沈殿は全溶解される。本研究は、全溶解の前に沈殿に弱い溶離液を作用させることで、一部の元素を選択的に回収しようとするものである。現在検討中の溶離液について、濃度や液量の変更にあまり効果がないことから、次のような可能性を考えている。1つは沈殿の表面近傍からしか溶離が起こっていないこと、もう1つは複数の価数の元素が存在することで、一部の価数の元素しか溶離しないことである。これらの可能性を検証するため、溶離液の温度を変える(反応速度や拡散速度を上げる)、還元剤/酸化剤などで価数を制御するなどの条件検討を新たに実施してみたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の急病による中断および、沈殿の回収や溶離操作を行う中で、沈殿回収系の再構成の必要性が明らかになり、変更を行った場合には年度内での完了が困難な部分が生じることになった。
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