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2021 年度 実施状況報告書

不斉触媒機能の創出を目指した光学活性グアニジン集積体の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 21K05169
研究機関徳島大学

研究代表者

荒川 幸弘  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (70709203)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード重付加反応 / 不斉触媒 / 高分子触媒 / グアニジン
研究実績の概要

本研究課題の目的は,キラルジアミンとビスカルボジイミドの付加反応に基づくグアニジン集積法を活用し,グアニジン型不斉触媒としての機能発現を志向して設計した様々な光学活性グアニジン集積体の合成法を確立すること,また,それらの不斉触媒としての有用性・実用性を見出すことである。具体的には,原料の設計によって生成物の構造,立体配座,物性を制御することを基本戦略とし,高い不斉誘起能を指向した分子設計として(i)嵩高い側鎖置換基,(ii)らせん構造,(iii)ハイパーブランチ構造,(iv)多様なジアミン由来骨格を有する光学活性グアニジン集積体の合成と機能評価,さらに(v)原料の非等モル混合に基づく段階的鎖伸長を活用した鎖長制御と不斉触媒作用における鎖長依存性の解明に向け実施計画を立てた。
初年度はおもに上記(i)と(v)について検討を進めた。(i)では,嵩高い側鎖置換基として1-, 2-, および9-アントラセニル基に着目し,対応するビスカルボジイミドの合成法を確立した。また,それらと光学活性なtrans-4a, 8a-デカヒドロキノキサリンの重付加反応による光学活性グアニジン集積体の合成法を確立した。さらに,それらが不斉塩基触媒として機能することを明らかにし,これらの成果を側鎖置換基の影響に関する新たな知見として国内研究会で発表した。一方,各種分光分析,クロマトグラフィー,計算科学の手法を活用することで,成長鎖の会合を鍵とする当重付加反応の重合機構および触媒作用の鎖長依存性を明らかにし,これらの成果を(v)に関連する知見として国際誌論文(ACS Omega 2021, 6, 33215)で発表した。また,当研究から着想を得た低分子キラルグアニジン触媒を別途開発し,その成果を国内学会および国際誌論文(Bull. Chem. Soc. Jpn. 2022, 95, 553)で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在まで,実施計画において掲げた五つの課題のうち,(i)嵩高い側鎖置換基を有する光学活性グアニジン集積体の合成と不斉触媒機能評価,および(v)不斉触媒作用における鎖長依存性の解明について一定の成果が得られている。その他の課題についても一部研究を開始しており,特に(iii)ハイパーブランチ構造を有する光学活性グアニジン集積体の合成と機能評価については,既に鍵原料となる新規トリスカルボジイミドの合成法を確立するに至っている。従って,本研究課題はおおむね順調に進展していると評価できる。一方,現状において特に立体選択性の観点から高分子触媒としての特徴を十分に引き出せておらず,今後の課題である。

今後の研究の推進方策

現在までの進捗状況を踏まえ,今後は実施計画に掲げた五つの課題のうち,(ii)らせん構造,(iii)ハイパーブランチ構造,および(iv)多様なジアミン由来骨格を有する光学活性グアニジン集積体の合成と不斉触媒機能評価を中心に研究を推進する方針である。特に,当面は高分子触媒特有の機能発現が期待できる(ii)らせん構造導入の推進に注力する。具体的には,o-フェニレンジアミン骨格やその他のらせん誘起を指向した骨格を有するビスカルボジイミドを新規設計し,それらの合成法の確立,キラルジアミンとの重付加反応による高分子化,円二色性分光法等による物性評価,不斉触媒機能評価を順次進める。あくまで実用に耐えうる不斉触媒機能の創出を目標とし,モデル反応系(ニトロオレフィンへのプロ求核剤の共役付加反応)において優れた触媒構造が見出せれば,これを様々なタイプの不斉反応へと展開し,不斉触媒としての潜在性・多様性を明らかにしていく。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Noncovalent Modification Strategy with Achiral Phosphoric Acid Diesters for Designing a Chiral Bronsted Base Organocatalyst2022

    • 著者名/発表者名
      Momoko Hara, Aya Ogawa, Keiji Minagawa, Yasushi Imada, Yukihiro Arakawa
    • 雑誌名

      Bulletin of the Chemical Society of Japan

      巻: 95 ページ: 553-555

    • DOI

      10.1246/bcsj.20210462

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Synthesis of Optically Active Polyguanidines by Polyaddition Reaction of Biscarbodiimides with Chiral Diamines2021

    • 著者名/発表者名
      Momoko Hara, Keiji Minagawa, Yasushi Imada, Yukihiro Arakawa
    • 雑誌名

      ACS Omega

      巻: 6 ページ: 33215~33223

    • DOI

      10.1021/acsomega.1c05892

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] キラルなジアミンとビスカルボジイミドの重付加反応による光学活性ポリグアニジンの合成とその触媒作用2021

    • 著者名/発表者名
      中田莉沙, 原桃子, 南川慶二, 今田泰嗣, 荒川幸弘
    • 学会等名
      第36回中国四国地区高分子若手研究会
  • [学会発表] 非共有結合性相互作用による構造修飾と高分子担持を活用したグアニジン型不斉触媒のオンデマンド設計2021

    • 著者名/発表者名
      荒川幸弘, 小川彩, 原桃子, 南川慶二, 今田泰嗣
    • 学会等名
      第70回高分子討論会

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公開日: 2022-12-28  

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