研究課題/領域番号 |
21K05173
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小笠原 伸 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (80706606)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | クロロフィル / ポリマー / デンドリマー / Schiff塩基 / アザマイケル付加反応 / イソシアネート |
研究実績の概要 |
藻類から抽出し、脱金属およびエステル交換によって得られたクロロフィル誘導体を用いて、市販のポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー(0世代, 末端アミノ基数=4)への導入を試みた。 まず、3位にホルミル基を有するメチルピロフェオフォルバイドdを用いて、アミノ基とのSchiff塩基形成を利用することを試みた。しかしながら溶媒に用いたクロロホルムに対するPAMAMデンドリマーの溶解性が低いため、反応が進行しなかった。そこで、Schiff塩基以外の導入方法について検討を行った。 3位ビニル基を有するメチルピロフェオフォルバイドaを用いて、17位末端にエステル交換によってアクリレート残基を有するクロロフィル誘導体を合成した。この誘導体を原料とし、PAMAMデンドリマーの伸長に用いられるアザマイケル付加反応によって、メタノール中でPAMAMデンドリマーの末端アミノ基への導入を試みた。しかしながら、PAMAMデンドリマーが塩基として作用することで、17位のエステル部位でメタノールとの交換反応が生じてしまうことが確認された。 同様に、17位末端にイソシアネート基を有するクロロフィル誘導体を原料とし、縮合反応によるPAMAMデンドリマーの末端アミノ基への導入も試みた。この反応によってクロロフィル誘導体がPAMAMデンドリマーに複数導入されたことが確認できたが、導入されたクロロフィル誘導体の数が1~4の混合物であるため、単離に困難であることがこれまでに明らかとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
クロロフィル誘導体が立体的に嵩高い分子であることから、混み合った構造を有している合成ポリマーに効率良く導入することは困難である。また、混合物として得られた場合の精製についても検討中であるが、技術的に難しく、時間を要する。
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今後の研究の推進方策 |
最近、クロロフィル誘導体の3位ビニル基へのヘテロ芳香環の酸化的付加反応の反応機構の詳細について明らかにでき、その効率的な導入法について新しい知見が得られた。そこで、それを展開する形で、ヘテロ芳香環を有するポリマー担体にクロロフィル誘導体を固定化する。また、混合物として得られた場合の単離・精製法を検討する一方で、混合物として物性評価を行うことについても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
高価な試薬が頻繁に必要になったため使用経費をなるべく抑制しようとした結果、予定を見誤ってしまい、次年度へ繰り越すことになってしまった。 本年度も引き続き、試薬や消耗品に使用する予定である。
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