研究課題/領域番号 |
21K05175
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研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
甲野 裕之 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (70455096)
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研究分担者 |
田島 健次 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (00271643)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 微生物セルロース / シランカップリング剤 / 複合材料 / 乳化 / エマルション |
研究実績の概要 |
高アスペクト繊維である微生物セルロースナノファイバー(NFBC)を水和状態でシランカップリング剤を作用させることにより、疎水化NFBCが合成できることを明らかにした。疎水化NFBCは改質前と同等のナノ繊維構造を有しており、セルロース内部の結晶状態も変化が無いことが確認された。また熱分析によって、熱分解温度が約40℃程度高温側にシフトしていることから、断熱性能が飛躍的に向上することも明らかになっている。調製時に使用するシランカップリング剤の選択により、双極子相互作用もしくは水素結合を介して多分子と強固な結合状態を形成することを実験的に立証した。またクロロホルムやテトラヒドロフラン等の極性有機溶媒中に均一分散し、油水混合系では界面に集合することも確認できた。 本疎水化NFBCを水中油滴粒子界面で微粒子形成させることを目的として、乳化剤の選択を検証した。主なものとして、Triton100、Tween20、シクロデキストリンを使用した。シクロデキストリンを用いることで、安定ミセルを形成し、撹拌、ホモジナイザー、超音波使用時にそれぞれ粒径40μm、20μm、サブミクロンサイズの球状ミセルが形成できることが確認できた。また疎水化NFBC存在下では、界面に局在化することも明らかとなり、今後は架橋剤を作用させることで、化学的に安定な球状中空粒子が合成できると予想している。架橋剤としては、末端活性化ジエポキシジエポキシ系を持ちいる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の設定どおりの進捗状態にあり、問題無く研究成果が得られている。また次年度実施項目である樹脂との複合化についても、予備的な実験は既に済ませており、進捗に目途がついている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
初年度にNFBC単独での微粒子乳化は困難であることが明らかになり、今年度疎水化処理を適用することで、目的を達成できる目途がついた。また疎水化処理は樹脂との親和性を高め、安定したコンポジットを形成できることも明らかになっている。中空ナノ粒子の架橋化を早急に進め、計画通りの研究活動の遂行を目指す。また成果の誌上公表やPR活動も並行して実施を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
適正な執行をした結果、残金119円が生じた。次年度は消耗品価格の上昇分として使用する。
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