研究課題
2022年度に実施した微生物ナノセルロース(NFBC)を用いた乳化技術を発展させ、そのメカニズムの解明と中空ナノ粒子の合成を試みた。NFBCは油水混合溶媒中で水中油滴粒子を形成し、長時間の安定性を維持した。電子顕微鏡等による観察の結果、NFBCが油滴粒子に付着した微粒子乳化(ピッカリング)乳化であることが明らかになった。さらなる安定性の保持を目的としてピッカリング粒子をジエポキシ系架橋剤を用いた架橋化を検討した。アルカリ水溶液中でピッカリング粒子を形成させ、エチレングリコールジグリシジルエーテルで架橋化したところ、粒子の安定化が達成できた。得られた粒子を回収、洗浄後、各種分析装置で構造決定を行った結果、NFBC水酸基の一部がエチレングリコールグリシジルエーテルの末端エポキシとエーテル結合を介して架橋化されていることが確認された。得られた架橋化微粒子は内部に油分子を内包しており、製剤等を含む親油性素材を内封できることも実証できた。つまり油滴含有NFBC粒子はドラッグデリバリー担体など医療用途への展開、さらには樹脂との複合化により樹脂中にナノ空間を構築できる新規ナノフィラーとしての応用が可能となった。本研究を3年間継続することにより、NFBCが持つ高アスペクト比、超表面積効果、生体適合性等の特長を最大限に引き出すことが可能となり、従来のセルロースナノファイバーが持つ応用に加え、中空ナノ粒子としての新しい応用の可能性を見出すに至った。
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