研究課題
研究実施3年目の,所謂「最終年度」となった2023年度は,これまでの2年間の成果を踏まえ,新たな化学構造を有するポリグアナミン/環状アザカリックスアレーン誘導体を新規合成し,検討を行った.研究の狙いとしては,界面分子膜として展開した後の配列秩序性が,1価の金属カチオンなどの低価数金属を効率的に捕集できる技術に繋げられることを期待した.これまでの検討から,配列形成に強い影響を与える部位として,アザカリックスアレーン環に結合したリンカー部を挙げることができた.そこで結晶性高分子であるポリエチレングリコール鎖をここに導入し,先ずはその固体構造評価を行った.この結果,直径1 mmを超える巨大な球晶形成が確認され,これまで検討した構造類縁体では確認できなかった三次元固体状態での結晶性が示された.この段階での成果がMacromol. Chem. Phys.誌に報告された.更にこの化合物が水面上単分子膜を形成し,高度に秩序かれた分子配列を示した成果がPolym. Eng. Sci.誌に報告された.更に,この界面分子膜が下相水中に存在する金属カチオンを捕集し,脱離特性を示し,また複数種の金属カチオンから特定の金属イオンを選択捕集できる事実がBull. Chem. Soc. Jpn誌に報告される.分子配列の高度化により,これまで捕集成功例のなかったNa+の捕集を達成した.その他,レアアースであるNd3+,レアメタルであるPd2+,除去が必要な有害金属の例としてCd2+などの捕集も達成し,更に簡便な超音波処理による脱離技術も確立できた.また,価数やイオン半径,更に環状アザカリックスアレーン部位の歪む角度の制御により,捕集選択性が付与出来ることも,明らかになった.以上,これらの成果から,海水中に含まれるレアアースを選択的に捕集しつつ,更にその脱離回収技術を確立することが可能になったと考えられる.
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