研究課題/領域番号 |
21K05186
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山崎 慎一 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (40397873)
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研究分担者 |
木村 邦生 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (40274013)
新 史紀 岡山大学, 環境生命科学学域, 助教 (40723268)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高分子構造・物性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、環状と直鎖状高分子の混合によって、絡み合い解消に強弱がつけられるブレンド系に、延伸を加えたときの力学的応答と結晶高次構造の変化を観察することによって、延伸過程の絡み合い変化を伴う構造形成の分子論的メカニズムを理解し、全く新しい結晶性高分子材料の創製に繋げることである。この目的を達成するために、①環状および直鎖状高分子の合成とキャラクタリゼーション②ブレンド高分子の結晶化試料の調製とその延伸過程における応力ひずみ曲線の測定③ブレンド高分子の結晶化試料の延伸過程における結晶高次構造の変化のその場観察を申請者が中心となった研究グループによって行う。 当該年度は、分子量が193,000の環状と、分子量が93,000または145,000の直鎖状ポリエチレンのブレンド系についての研究を実施した。環状および直鎖状ポリエチレンとして、修飾型Grubbs触媒および第2世代Grubbs触媒によるシクロオクテンの環拡大重合によって調製される前駆体高分子を水素化した環状および直鎖状ポリエチレンを用いた。調製した試料の化学構造の確認を現有のNMRおよび赤外吸収分光計で行った。環状と直鎖状ポリエチレンを所定の割合でブレンドした試料を作製した。 ブレンド試料の応力ひずみ曲線を室温において引張試験機にて測定した。応力ひずみ曲線の破断ひずみの変化に着目すると、ブレンド成分である直鎖状ポリエチレンの分子量やその組成に応じて、破断ひずみが変化することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者および研究分担者の所属する大学が新型コロナウイルス感染予防対策として、新規研究の着手を原則禁止する活動制限を約半年間にわたって行ったため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、前年度の計画に加え、導入予定の延伸試験機に申請の温度可変ユニットを取り付けて、室温以上融点以下の温度範囲での測定を行う。導入予定装置のスペックの詳細を詰めるために、基礎的なデータの収集を継続して行う。また、測定温度を上昇させるのは、非晶領域の鎖の可動性をあげ、鎖をより効率的に滑らせるためである。さらに、2023年度初頭からは、それまでの研究において興味深い結果が得られたブレンド系に的を絞って、実験室でのX線源および放射光を用いた時分割観察を開始する。これにより、延伸過程における結晶・非晶高次構造の詳細な変化が明らかにできる。この情報は、偏光顕微鏡や光散乱等では絶対に得られない情報である。その他の実験手法は、2021年度の計画と同様である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、研究代表者および研究分担者が所属する大学の新型コロナウイルス感染予防対策にかかる研究活動制限の影響を大きく受け、予定していた研究を十分に遂行できなかったために、次年度使用額が発生した。この次年度使用額は、今後進捗が遅れている研究を実施するための経費として消化される予定である。
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