研究課題/領域番号 |
21K05195
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
石毛 亮平 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (20625264)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 全芳香族ポリイミド / 加熱延伸 / 液晶 / 逐次相転移 / 放射光X線散乱法 |
研究実績の概要 |
含フッ素ポリイミドであるPMDA-TFDBの前駆体であるポリアミド酸(PAA)を定荷重下で延伸しつつ,イミド化温度まで加熱することで高配向のPMDA-TFDB配向フィルム試料が得られることを見出している.この加熱延伸過程においてin-situの広角X線散乱(WAXS)測定を実施したところ,イミド化に先駆けてPAAが配向してネマチック相(N相)が発現し,このN相がスメクチック相(Sm相)へと変化する逐次相転移現象を見出した.配向したSm相はイミド化とともに消失し,高配向の結晶が出現した.さらにin-situの小角X線散乱(SAXS)実験では,N相の出現とともに長周期が観測され,イミド化後の試料においても4点に分裂したバタフライ型の長周期散乱が観測された.このような延伸誘起の逐次相転移現象は前例がなく,極めて興味深い.一方,加熱延伸するPAAの膜厚を減らすと,イミド化後に見られた長周期散乱は観測されなかった.比較的厚い試料の場合,延伸過程で残留する溶媒量がより多くなると考えられるため,残存溶媒が長周期構造の発現に関与していることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた延伸装置等の開発が遅れたが,延伸過程の構造発展に関する初期検討については概ね計画通りに進行した.
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今後の研究の推進方策 |
パンタグラフ式の加熱延伸機の開発を進めるとともに,加熱延伸過程で出現する長周期構造の形成機構を明らかにすべく,種々の膜厚のフィルムを用いたin-situのWAXS/SAXS測定を引き続き実施する.さらに,延伸試料について全反射赤外分光法(ATR-FTIR)を適用した反応率および配向評価を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた延伸装置等の開発が遅れたため. 使用額の差分は予定していた延伸装置の開発に充てる。
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