研究課題
2022年度末までにおいて、4-スチレンスルホン酸n-ブチル、ジビニルベンゼンを混合してラジカル共重合し、アルキル保護基を脱保護することで、スルホン酸基密度が非常に高い架橋ポリ(4-スチレンスルホン酸)膜(CL-sSA)を合成していた。このCL-sSA 膜のイオン交換容量(IEC)は5.0 mequiv/g以上であることを確認し、80 ℃、90 %RH の条件下において0.93 S/cm と、酸基密度の低い従来膜と比較して6 倍以上高い伝導率を示した。しかし、この膜のスルホン酸基密度は高いものの、架橋点密度や疎水性部位の効果についてはほとんど調査がなされていなかった。そこで4-スチレンスルホン酸n-ブチル、ジビニルベンゼンに加えてスチレンも一緒にラジカル共重合し、塩基を用いて脱保護した後に、酸でプロトン化することで複数の膜を合成し、膜の伝導率と寸法安定性に及ぼす架橋点密度や疎水性割合の効果を調査した。4-スチレンスルホン酸/スチレン/ジビニルベンゼンのモル比が99/0/1である膜はスルホン酸基密度が高いため高伝導率(0.93 S/cm)を示したが、25 ℃の水に1日浸漬すると、大きく膨潤して破損して、寸法安定性は低いものであった。疎水性のスチレンの割合を増やした80/19/1の膜は99/0/1の膜より伝導率は低いものの0.4 S/cm 程度の高い伝導率を示した。水に浸漬すると2.5 倍程度に膨らんだが、破損せずに形態を保っていた。本研究成果については学会発表を行った。そのほか、塩基性官能基を有するポリマーに強酸性液体を浸み込ませて得られる電解質膜の作製及び評価、イオン性のポリマーの調製及び力学特性などに関しても一部実験を実施した。
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高分子
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日本レオロジー学会誌
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https://phys-chem-polym.chembio.nagoya-u.ac.jp/member-noro.html