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2023 年度 実績報告書

ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)の覚醒反応の機構解明と制御

研究課題

研究課題/領域番号 21K05198
研究機関広島大学

研究代表者

駒口 健治  広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (80291483)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードヒンダードアミン系光安定剤 / 光酸化反応 / ニトロキシドラジカル / 電子スピン共鳴法
研究実績の概要

最終年度は,近紫外光に対して比較的安定なn-ヘキサンを溶媒として用いた。HALSとしてセバシン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)(SBTM)を用いたとき,NO-ラジカルの生成速度は,ピペリジル基のNに導入された置換基の種類に強く依存し,R = -CH3 < -H < -O(CH2)7CH3 の順で増加した。
HALSの光酸化におけるESR信号変化は,NO-ラジカルの生成とその光分解の2つの相反する反応が同時に起こっている結果と考えられる。そこで、まず、NO-ラジカルの光分解について,2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル(TEMPO)をNO-ラジカルのモデル分子として用い,速度論的解析を行った。ESR信号は,濃度に関係なく一次反応則に従って減衰し,本実験条件下での速度定数として,0.027 /minを評価した。さらに,SBTMの光酸化反応に及ぼす溶存酸素の影響は小さいことから,NO-ラジカルの光分解反応がTEMPOと同じ機構で進行すると仮定してSBTM の光酸化(HALSの覚醒反応)をNO-ラジカルの逐次一次反応として速度論的解析を行った。SBTMの光酸化によるNO-ラジカル生成の速度定数の相対値として,本実験条件下において,-CH3:-H:-O(CH2)7CH3 =1 : 6 : 22と評価することができた。R = -O(CH2)7CH3 は,DenisovサイクルのNO-ラジカル再生反応の活性種でもあり,NO-ラジカル再生反応は,ピペリジル基(R = H,CH3)を有する一般的なHALSの光酸化反応よりも速いことが示唆される。
n-ヘキサン中のSBTMの光酸化において溶存酸素の影響が小さいという結果は,HALSの光酸化では酸素が必要とされる従来の報告と矛盾するものであり,今後,詳細に検討する必要がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Photo-oxidation reaction of hindered amine light stabilizers (HALS) in organic solutions2023

    • 著者名/発表者名
      Yujie Ma, Kenji Komaguchi
    • 学会等名
      2023年光化学討論会
  • [学会発表] Light-induced structural change of tetramethylpiperidyl light stabilisers to nitroxide radicals in n-hexane2023

    • 著者名/発表者名
      Yujie Ma, Kenji Komaguchi
    • 学会等名
      第62回電子スピンサイエンス学会年会
  • [学会発表] Photo-oxidation reaction mechanism of tetramethylpiperidyl light stabilizers in n-hexane2023

    • 著者名/発表者名
      Yujie Ma, Kenji Komaguchi
    • 学会等名
      2023年度日本化学会中国四国支部大会 山口大会

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公開日: 2024-12-25  

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