研究課題/領域番号 |
21K05203
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
曽川 洋光 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (90709297)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 白金錯体 / ポリウレタン / メカノクロミズム / 蛍光 / メタロポリマー |
研究実績の概要 |
本研究では,力学応答性を示す白金錯体をポリウレタン主鎖中に組み込むことで,外部応力に応じて鋭敏に蛍光色が変化する強靭性としなやかさを併せ持つメカノクロミックメタロポリマーの開発を目指す。まず,反応性部位としてアルコールを有するメカノクロミック白金-アセチリド錯体の合成をおこなった。得られた錯体の構造を各種スペクトル測定で確認するとともに,固体状態ですり潰すことで黄色から橙色の蛍光変化,つまりはメカノクロミック挙動を示すことを確認した。次いで,これをジオールモノマーとしたポリウレタン合成を検討した。アセチリド錯体部位にフェニルアセチレンを用いたものは,ポリマーにした際の溶解性が非常に乏しく,各種測定が困難であった。一方,4-tert-ブチルフェニルアセチレンを用いて得られた白金-アセチリド錯体はモノマーおよびこれを用いて得られるポリマーともに各種有機溶媒に良好な溶解性を示した。またポリマーのUV-visスペクトルを測定した結果,400 nm付近に観測されるMLCT遷移に由来する吸収がモノマーに対し,ポリマーでは長波長シフトしていることが確認された。希薄溶液中,白金錯体部位が共有結合で連結されることで,高分子鎖内で特徴的な白金-白金相互作用を示していることが示唆された。また,得られたポリマーのすり潰し試験を行った結果,黄色から茶色の蛍光変化を示すことが観測され,モノマーとは少し異なる色調のメカノクロミック挙動をが確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鍵となる反応性部位を有するメカノクロミック白金-アセチリド錯体の合成に成功するとともに,それを用いたポリウレタン合成に成功したため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後,合成したメカノクロミック白金錯体を鎖長延長剤として組み込んだセグメント化ポリウレタンの合成を実施する。これにより伸長しながらのメカノクロミック挙動変化の観測が可能になると期待される。また白金錯体部位をハードセグメントに導入する分子設計も併せて行い,そのメカノクロミック挙動に変化がないかも確認する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響が以前続いており,当初計画していた学会参加等に伴う出張旅費が不要となったため。また,実験室の立ち入りが制限される期間もあり,実験に使用する試薬購入費等も当初計画していたより少なくなったため。
|