研究実績の概要 |
本研究では,力学応答性を示す白金錯体をポリウレタン主鎖中に組み込むことで,外部応力に応じて鋭敏に蛍光色が変化する強靭性としなやかさを併せ持つメカ ノクロミックメタロポリマーの開発を目指す。 2022年度までに,アルコール部位を有するメカノクロミック白金-アセチリド錯体を用いたセグメント化ポリウレタンの合成した。得られたポリウレタンは,良好な力学強度を有しているとともに,伸長時にはその蛍光色が変化することをCIEプロットより確認した。 2023度は,圧縮時のメカノクロミック挙動を確認した。得られた白金-アセチリド錯体含有ポリウレタンにプレス器を用いて印加したところ,印加部分が選択的に橙色から茶褐色に変化した。印加後のフィルムを再溶解し,SEC,NMR測定を行なったところ,印加前と同様のシグナルが観測されたことから,色調変化は白金錯体部分の配列変化に起因していることが確認された。 研究期間全体を通じて,アルコール部位を有する白金-アセチリド錯体を鍵モノマーとし,メカノクロミック挙動を示すポリウレタンの合成に成功した。1,6-ヘキサメチレンジイソシアナートとの反応により得られたポリウレタンは成膜性に乏しかったが,長鎖ジオール成分を導入することで,成膜性,力学特性に優れた白金-アセチリド錯体セグメント化ポリウレタンが得られた。得られたポリウレタンは,伸長時ならびに圧縮時に色調や蛍光色が変化するメカノクロミック挙動を示すことを明らかとした。
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