研究課題
最終年度には同時的な力学物性向上の理解を深めるために、結晶化温度に依存した力学物性の評価を行った。通常の結晶樹脂と異なり、結晶化温度が上昇するほど破断ひずみ、破断応力が向上する傾向が観測された。球晶サイズは大きくなるが、結晶化時に出現する相分離ドメインが応力の集中を抑制したためではないかと考えている。また、本研究で見出したゴムと結晶性樹脂のブレンドゴムの機能開拓として溶融時の相溶と試料全体への一様な球晶成長を利用した接着性の発現を試みた。本ブレンドゴムは融点近傍で圧着することで2枚のフィルムが強固に接着し、圧着後も元のフィルムと同等の力学物性を有することを見出した。TEM観察により接着界面でPVDFの結晶ラメラが界面を相互侵入することが確認された。この結果は結晶化を利用したゴムの新規接着法の開拓につながると期待できる。他の機能化として本ブレンドゴムにイオン液体を含浸することで高イオン導電率と優れた力学物性を有するゲル電解質の作成が可能であることを確認している。
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Journal of Macromolecular Science, Part B
巻: 63 ページ: 478~496
10.1080/00222348.2023.2271808