研究課題
基盤研究(C)
本研究では研究代表者が独自開発してきたアセンジカルコゲノフェンジオンと呼ばれる高い電子受容性を有する一連の有機半導体骨格を組み込んだ種々の新規高分子半導体の合成とその半導体物性の調査を行った。本骨格を導入した高分子半導体について、骨格のπ拡張や含まれるカルコゲン原子の種類、可溶性置換基の種類や置換位置等の分設計を精査することで、1 eV 以下狭いバンドギャップを有しかつ、深いHOMO、LUMO準位と1 cm2/Vsに及ぶ高いキャリア移動度を示す材料を創製するに至った。
材料化学
吸収端波長が1100 nm(1.1 eVのバンドギャップエネルギーに相当)を超えるほど極めて狭いバンドギャップを有する高分子半導体材料は、従来のシリコン半導体の代替かそれ以上に優れた次世代の電子材料として期待されている。しかし、化学的安定性と優れた半導体物性を示す極狭バンドギャップ高分子半導体の設計は容易ではない。本研究では、新規半導体骨格を組み込んだ分子設計により、優れた物性を示す新規材料の創出のみならず、今後の材料開発において重要な分子設計や合成アプローチについての知見を見出した。