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2021 年度 実施状況報告書

多様な分子幾何をもつ熱刺激応答性の固体発光分子の効率合成と構造-特性相関の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K05212
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

山田 重之  京都工芸繊維大学, 分子化学系, 准教授 (10612252)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードフッ素 / 官能基変換 / 発光 / 液晶
研究実績の概要

熱に応答して発光挙動が変化する熱刺激応答性の固体発光材料は,スマートウィンドウや発光温度センサーとしての用途に期待される。しかし,従来の分子設計では加熱下で強く発光する分子開発は困難であった。そのため加熱下でも強い発光を維持できる新たな発光分子の分子デザイン,構造と特性との相関の解明が強く望まれている。そこで容易に調製可能な直線状分子から,官能基変換によって円盤状や屈曲形状,分岐形状などの多様な幾何形状をもつ液晶分子への変換技術を確立する。得られた分子の光学特性・熱特性や熱刺激応答性を精査し,構造と特性との相関の解明を目的としている。申請者の合成化学と材料化学の知見に基づき,本研究では多様な分子幾何をもつ熱刺激応答性の固体発光分子のデザイン・変換技術を提供し,『高効率・長寿命・高感度な熱刺激応答性の固体発光分子』の迅速な開発・技術的応用に貢献できる。
これまでに,フッ素化トランを基幹物質とし,炭素-炭素三重結合の三量化反応を用いた含フッ素ヘキサアリールベンゼン誘導体の合成を検討した。その結果,1,4-ジオキサン溶媒中,ジコバルトオクタカルボニル触媒存在下,フッ素化トランを120℃で加熱還流させると,[2+2+2]環化三量化反応が進行し,対応する含フッ素ヘキサアリールベンゼン誘導体が得られた。得られた含フッ素ヘキサアリールベンゼン誘導体は,1,2,4置換体と1,3,5置換体の位置異性体混合物として得られたが,それらはシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離精製できた。分離精製した両異性体の光学特性を調査したところ,1,2,4異性体の発光バンドが長波長側に現れる特異な挙動が観察された。また,いずれの異性体も結晶状態で発光効率が増強する凝集誘起発光特性を保持することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和3年度の研究計画として,環化三量化による含フッ素ヘキサアリールベンゼン誘導体の合成・高分子化・特性評価を行い,円盤状の液晶性発光分子の開発まで行うことを計画していた。令和3年度において,環化三量化による含フッ素ヘキサアリールベンゼン誘導体の合成および発光特性を精査することは達成できたと考えている。本研究は環化三量化による含フッ素ヘキサアリールベンゼン誘導体の合成がボトルネックであったが,そのボトルネックを解決できたので,重合性官能基を有するフッ素化トランを用いることで,高分子化も達成が見込める。

今後の研究の推進方策

令和4年度以降の計画として,Diels-Alder反応による屈曲分子の合成・高分子化・特性評価,そしてカルボメタル化反応を駆使した含フッ素テトラアリールエテンの合成・高分子化・特性評価を計画し,研究期間終了までに多様な幾何構造を有する液晶性発光分子の開発と構造-特性の相関の解明を目指す。
含フッ素アルキンと各種1,3-ジエンとのDiels-Alder反応も申請者のグループで報告し (Egashira, Yamada(4/5) et al. Synthesis 2020),その知見をもとに,含フッ素トランから各種1,3-ジエンとのDiels-Alder反応を駆使した屈曲分子 (1,4-シクロヘキサジエン誘導体または,o-ターフェニル) への変換を検討する。シクロペンタジエンの利用により開環重合モノマーを合成し,高分子化も検討し,各種特性評価へ展開する。申請者のグループでは,カルボメタル化反応を駆使した含フッ素多置換アルケンの位置選択的合成を報告している (Konno et al. Org. Lett. 2004)。本研究では,その変換反応を応用し,新たな液晶性発光分子として機能する含フッ素テトラアリールエテンの合成を検討し,高分子化したのち,得られた分子の各種特性評価を実施する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 含フッ素ヘキサアリールベンゼン誘導体の合成と発光特性評価2021

    • 著者名/発表者名
      王 逸舟,盛田雅人,山田重之,今野 勉
    • 学会等名
      2021年光化学討論会
  • [学会発表] 含フッ素ヘキサアリールベンゼンの光学特性におけるフッ素導入効果2021

    • 著者名/発表者名
      王 逸舟,山田重之,今野 勉
    • 学会等名
      第44回フッ素化学討論会

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公開日: 2022-12-28  

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