酸素層と水素層が交互積層するEuVO2Hがネオジム磁石に匹敵する巨大な垂直磁気異方性を示すことに着目し、その起源の解明を目指して研究に取り組んだ。様々な膜厚の薄膜や粉末試料の高圧実験を多角に行い、磁気異方性発現には、Eu2+とV3+の間で電荷移動が重要となることを明らかにした。また、このサイト間電荷移動を活用し、同価数元素置換からキャリア制御できることも見出した。通常の酸化物では困難であった3dバンドと4fバンドを独立制御する指針となる。固体化学の潮流にある「トポケミカル反応」に、「基板応力」や「外部圧力」を組み合わせることで、新しい構造、組成、概念を秘めた新しい機能性シーズ材料を開拓した。
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