研究課題/領域番号 |
21K05228
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福田 勝利 京都大学, 産官学連携本部, 教授 (80504331)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ナノシート / 貴金属 / 合金化 |
研究実績の概要 |
令和3,4年度の成果により、本申請の大きな目的である新規貴金属ナノシートの合成に成功し、論文として発表している。共同研究を通してナノシートの前駆体となる層状白金酸化物を合成した。得られた層状白金化合物の結晶構造は未だ解析できていないが、X線回折パターンから判断してイオン交換性を有しているがわかる。次に、このイオン交換反応を利用して単層剥離を誘導し、酸化白金ナノシートコロイド溶液を得た。このコロイド中からナノシートを基板上へ取り出し、放射光を用いたナノシートの二次元構造解析を行ったところ、2次元長方形格子に起因する高い結晶性を有していることがわかった。さらに、水素還元処理を行うことで、新規貴金属ナノシートとなる白金ナノシートへ還元されることも明らかにしている。ルテニウムナノシートに次いで「ナノシートのトポタクティック組成・構造変換法」が起きていることが示された。また、これら貴金属ナノシート以外にも遷移金属系ナノシートにおいても金属ナノシートの探索を進めている。 本申請では、反応解析のための放射光in-plane回折実験用のための装置開発も行っている。KEK BL6Cに設置してある表面回折計では、すでに雰囲気制御、加熱、光照射をするためのチャンバーは整備済である。ナノシートの二次処理に着目して研究を行うことから、実験室(京都)で様々な条件で二次処理を施したサンプルを大気暴露せずに遠隔地(主につくば)へ運べるように令和3年度には小型・軽量を考慮した試料搬送機構を先に開発している。令和4年度は合成したナノシート薄膜を実際に二次処理を行えるようにサンプルの設置方法(土台、基板)の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「ナノシートのトポタクティック組成・構造変換法」により、白金ナノシートの合成に成功したことは大きな前進であった。また、PF実験のための課題も共同研究先と取得できており順調であった。
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今後の研究の推進方策 |
最重要課題であった、新規の貴金属ナノシートの合成と構造解析は達成しているが、今後も継続で新たな貴金属ナノシートを探索していく必要がある。本申請では、次に合金化に関する知見を得ることも大きな目標であり、得られた2種類の貴金属ナノシートの組み合わせについても検討を行っていく。2種類の貴金属ナノシートを組み合わるためには、まず合成条件を揃える必要がある。特に合金化に向けては基板との関係が無視できず、基板が及ぼす反応への影響を調べる必要がある。これらの複合的な研究を通して、最終的に本申請の狙う二次元ナノ材料の組みわせに特徴的な合金化などの現象を見出したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
「その他」の項目において、新規貴金属ナノシートの構造解析がKEK-PFで主に済んだために、他の放射光施設で有料利用する必要性が生じなかったことが残額が生じた主な要因である。一方で、研究の目的通り新規ナノシートを合成できたため、残額を合わせて最終年度は合金化に向けて基板の影響や反応解析のための実験を加速するために用いる。
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