現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請した研究計画調書において、初年度は、目的に沿った適切なホスト材料の決定を目指すこととしていた。また、ホスト材料を液相中合成する際、その合成温度の低温化を一つの目標として挙げていた。 この目標に対し、初年度においては、Y2BaZnO5, Y4Al2O9, Y2SiO5, La2ZnTiO6, SrLaZnO3.5, SrBaZn2Ga2O7, Na3Al2(PO4)2F3, Na5Al(PO4)2F2など様々な多元系酸化物とリン酸塩化合物をフラックス法、水熱法、ゾルゲル法などの手法によって合成し、それらの粉末X線回折のデータを用いたRietveld法によるシミュレーション解析によって、その結晶学的性質を決定した。また、これらのホスト材料に対し、機能性付与のための各種イオンを添加した単相試料の合成にも一部成功した。特に、リン酸塩化合物をホスト材料とした試料においては、水熱法による液相中合成によって、合成温度を130℃まで低温化することに成功し、物質合成の省エネルギー化を可能とする成果が得られた。 さらに、前述の研究実績の概要で述べたとおり、Y4Al2O9やLa2ZnTiO6などいくつかの酸化物ホスト材料に対し、適切なイオンを共添加した単相試料を合成し、合成した試料の結晶学的性質と光学的性質の評価によって、UC発光時の赤外光-可視光変換特性の大幅な改善と励起波長域の拡張効果を明らかにした。これらの実験結果は、今後、効率的な紫外光生成を実現する上で有益な成果と考える。 以上の結果を受けて、初年度の研究進捗状況については「おおむね順調に進展している」と判断した。
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