研究課題/領域番号 |
21K05251
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
斉藤 誠 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主任研究員 (50736288)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | フッ化物イオン / インターカレーション反応 / 有機金属錯体 |
研究実績の概要 |
モリブデン系シアノ架橋金属錯体(Zn2Mo(CN)8)へのアニオン挿入脱離反応の検討として、研究年度2年目は②挿入アニオンサイズによる反応制御、③電池材料としての評価の2つの課題について検討を進めた。 ②挿入アニオンサイズによる反応制御、については、水溶液中で水和したフッ化物イオンよりさらに小さなイオン種として、水和を受けていない非水系電解液中のフッ化物イオンの挿入脱離反応について検討した。既報のイオン液体系電解液(TMAF/MPP-TFSI;TMAF = trimethylammonium fluoride, MPP = trimethylpropylammonium, TFSI = bis(trifluoromethanesulfonyl)imide)を用いて評価したところ、水系電解液で見られた酸化還元反応は確認されなかった。 ③電池材料としての評価、については、全電池の試作に向けて適当な負極の探索を行った。フッ化物イオンの吸蔵放出が報告されている金属フッ化物に加え、水系電解液中にフッ化物イオンの対イオンとして存在するカリウムイオンやナトリウムイオンなどのカチオンを吸蔵放出する有機化合物や有機金属錯体など種々の負極候補物質を検討した。酸化還元電位が水素発生反応と競合したり、酸化還元反応の可逆性に劣る化合物が多い中、金属亜鉛が比較的良好な酸化還元特性を示し、全電池試作の際の負極として用いることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請課題の取り組み内容の、 ②挿入アニオンサイズによる反応制御、については、水系電解中のフッ化物イオンよりさらに小さなイオン種として、水和を受けていない非水系電解液中のフッ化物イオンの挿入脱離反応について検討し、イオン液体中のフッ化物イオンは挿入脱離されないことを確認した。 ③電池材料としての評価、については、種々の金属フッ化物や有機化合物、有機金属錯体などを検討したところ、反応電位・可逆性の観点から金属亜鉛が有望であることを確認した。 上記、2つの課題に対して一定の進捗があったため(2)おおむね順調に進展していると評価した
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度では、電池材料としての評価をさらに進めるべく、電解液組成の最適化を行い全電池の試作評価を行う。さらに、多電子反応系の探索を進める。
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