研究実績の概要 |
水素製造の主流は、ナフサなどの水蒸気改質反応により合成され、圧力スウィング法や低温蒸留法により水素が分離され、商用されている。より効率的に水素を分離するために、ポリマー膜、パラジウム膜、非晶質シリカ膜などが検討されているが、さらに効率的かつ低コストの方法が望まれている。多孔体の孔径を数十nmに制御することで、水素と二酸化炭素を分離する研究がなされており、この方法であればその目標を達成できる可能性がある。申請者らは、多孔質球状粒子を原料として用い多孔体を合成することで、均一分布したサブミクロンの孔径の多孔体の合成に成功している。これら技術を融合させることで、量産可能な高効率水素分離多孔体の製造が可能と考えられ、これを目的として研究を行った。 多孔体の成分として、構造セラミックスとして実績のあるアルミナを用いた。アルミナ多孔質球状粒子は噴霧熱分解法で合成した。原料として、硝酸アルミニウム9水和物、クエン酸、アンモニア水をもちいて、溶液を超音波振動子によってミスト化する。ミストを一定流量の空気で、高温に保持した電気炉に導入し、出口側に用意した捕集器で粒子を回収する。粒子を仮焼後、成形し、1100℃2時間焼成することで、α-アルミナ多孔体を得た。アルキメデス法により開気孔率約60%, 吸着等温線から孔径80nmの均一孔径を有する多孔体であることがわかった。
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