本研究では、シトクロムP450に擬似基質を添加して、化学的に反応性の低い末端の1級炭素に選択的に水酸基を導入する技術の創製を目指して研究を行った。複数の長鎖脂肪酸水酸化P450に対して、様々な擬似基質を添加し、プロパンの水酸化を行ったところ、CYP153A33が約80%の選択性で1級炭素を水酸化した1-プロパノールが生成した。意外にも、これまで巨大菌由来のP450BM3では有効でなかったフッ素修飾擬似基質がCYP153A33に極めて有効であることを明らかにした。プロパンのみならず、ブタンの末端水酸化も可能であり、非天然基質の1級炭素選択的な水酸化手法として、今後の発展が期待出来る成果を得た。
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