研究課題/領域番号 |
21K05278
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
稲垣 賢二 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 特任教授 (80184711)
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研究分担者 |
今田 勝巳 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (40346143)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | L-リジン酸化酵素 / L-グルタミン酸酸化酵素 / 基質認識機構 / 酵素の成熟化 / X線結晶構造解析 |
研究実績の概要 |
本研究では,高基質特異性L-アミノ酸酸化酵素である放線菌由来のL-グルタミン酸酸化酵素(LGOX)および糸状菌由来のL-リシン酸化酵素(LysOX)の基質認識機構とプロセシングによる活性化・安定化機構を明らかにし,特定アミノ酸のみを基質とする酵素や,逆に全てのアミノ酸に作用する酵素といった新規酵素群の創出を目的としている.2022年度までにLysOXの基質認識機構と活性化・安定化機構,LGOXの基質認識機構を解明した.2023年度は,LGOXのプロセシングによる活性化・安定化機構を解明するため,LGOX前駆体のX線結晶構造解析に取り組み,2.76A分解能で解析に成功した. 当初MBP融合蛋白質として大腸菌で発現・精製したところ,4量体と2量体が得られ,それぞれ結晶化した.しかし,分解能が4A程度の結晶しか得られなかった.そこで,タグの変更等を行い精製法の改良を行なったところ,N末にHis-tagを付加して発現し,さらにリシン残基のメチル化して精製した試料について4量体のみが得られ,これを結晶化したところ3A分解能を超える結晶が得られた.得られた結晶はtwinであったがソフト的に分離することで,最終的に2.76A分解能の構造が得られた.この構造をプロセシング後の構造と比較したところ,プロセシングにより2本のヘリックスが移動することで基質主鎖カルボキシ基と直接相互作用するY562と基質側鎖と相互作用するW564の位置が基質との相互作用に適した位置に移動していた.すなわち,LGOXは基質の入口を物理的に塞ぐのではなく,基質結合部位の構造を小さく変化させることで成熟化後の活性を増大させていることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長年未解明であったLGOX前駆体の構造解析に成功し,既知の成熟型酵素との構造比較を行うことができた.その結果,LGOXの成熟化機構の一端を明らかにした.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られている活性部位付近の残基の置換によりTyrに対する基質特異性を獲得したLGOX E617変異体の構造解析および構造に基づく活性部位付近の残基に複数の変異を導入することでさらに基質特異性の異なる酵素の作成を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
主な理由は,参加を予定していた国際会議が,延期となってしまったため. 残された課題解決に向けた研究打合せ費用,実験を行う費用や,成果発表の為の学会参加費,論文投稿料などに用いる予定である.
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