研究課題/領域番号 |
21K05279
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
伊藤 智子 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 客員研究員 (80372910)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 抗腫瘍免疫治療 / 細胞外小胞 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は抗原性の弱い腫瘍に対しても効果的に抗腫瘍細胞性免疫を惹起させる「微生物抗原」提示細胞外小胞製剤を創製することにある。 近腫瘍関連抗原は一般に免疫原性が低く、抗腫瘍免疫が誘導されにくい。我々は、抗原性の高い結核菌抗原、ESAT-6の遺伝子を腫瘍細胞に導入し疑似感染状態を形成させ、抗腫瘍免疫を効率よく誘起する新しい免疫治療システムを開拓し、その効果を報告してきた。さらにその治癒メカニズムとして、遺伝子導入した腫瘍細胞がESAT-6抗原を提示した細胞外小胞(ESAT-EVs)を分泌し、これが抗腫瘍細胞性免疫を誘導する機構を提唱した。 これを立証するために、培養細胞から調製・単離したESAT-EVsを担ガンモデルマウスに投与したところ、著しい抗腫瘍効果が確認された。ESAT-EVsを捕食した樹状細胞が結核菌抗原を「外来危険信号」と認識して成熟し、抗腫瘍免疫を誘導したと思われる。 もう一つの可能性として、マクロファージの関与する機構が考えられる。すなわち、ESAT-EVsを取り込んだマクロファージが活性化し、サイトカインを分泌して樹状細胞の応答を誘導した、というメカニズムである。そこで、GM-CSFにより分化させた培養骨髄細胞から樹状細胞をマグネット式細胞単離装置(MACS)を用いて単離し、ESAT-EVsを加えたところ、樹状細胞単独でも抗原提示EVによって有意な成熟が観察された。 さらに、樹状細胞+マクロファージの共存系ではその効率が高まることが確認され、ESAT-EVsは直接樹状細胞を刺激してこれを成熟させると同時に、マクロファージを刺激してサイトカインを分泌させ、樹状細胞をさらに効率よく活性化することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に基づいてGM-CSFにより分化させた培養骨髄細胞から樹状細胞をマグネット式細胞単離装置(MACS)を用いて単離する方法を確立した、さらに、樹状細胞の成熟をフローサイトメトリーにより評価する手法を確立した。
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今後の研究の推進方策 |
マクロファージに対するESAT-EVsの効果を詳細に調べ、サイトカインの分泌などを解析することで、ESAT-EVsがマクロファージを介して樹上細胞を活性化するシステムを検討し、より効率の良い治療システムの設計を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:ELISAキットの発注が遅れたため 使用計画:サイトカインの解析に必要なELISAキットを購入する。
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