研究課題/領域番号 |
21K05287
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
瀧 真清 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (70362952)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | コバレントドラッグ / ファージディスプレイ / 中分子型TCI / warhead / コンビナトリアルスクリーニング / SuFEx反応 |
研究実績の概要 |
前年度に確立したペプチド型コバレントバインダーの直接的な取得法を、本研究課題にて提案したTペプチド型コバレントバインダーの取得へと適用することを試みた。具体的には、標的蛋白質に結合するペプチド型コバレントバインダーを一次fragmentとみなし、fragment伸長法の概念で更に性能のよい結合体を取得すべく、T7ファージ上に提示されているランダムペプチドライブラリーに共有結合させることでT型構造を持つ二次ライブラリーを作製することを試みた。しかしながら、fragmentとランダムペプチドライブラリーを提示しているファージとの分離精製を行う際などに、幾つかの予期しない困難が生じ、改善が見られなかったため、中分子コバレントバインダーの更なるモダリティー拡張として、T型ペプチド構造ではなくDNAアプタマー構造を使用することを優先して研究を進めることとした。具体的には、前年度に基礎検討を行ったSuFEx反応型warheadをDNAアプタマーに導入したのち、前年度にペプチド構造で行った際と同様の手法で、標的結合に伴う加水分解耐性が向上していることを確認し、結果を原著論文として発表した。現在はこの結果をもとに、進化分子工学的手法にて、DNAアプタマー型コバレントバインダーの直接的な取得を試みている。なお、fragment伸長法を用いて、性能のよい非共有結合型のバインダーを簡易/迅速取得するための蛍光追跡技術を新たに開発し、本研究の派生研究としてまとめあげ、原著論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたT型ペプチド構造から、DNAアプタマー構造へと中分子モダリティーの変更を行ったものの、前年度に得られた知見や化合物を活かし、本科研の当初の目的である「中分子型コバレントバインダーを創成する一般的手法を確立する」ことを達成するために支障なく研究が進行し、有意な知見の蓄積および原著論文発表がなされているため、上記区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きライブラリーの中からスクリーニング条件などを基礎検討することで、性能のよいコバレントバインダーの取得を行う条件を確立する。得られたコバレントバインダーを化学合成した後、標的への結合に伴う熱力学的パラメータの取得を行い、質量分析およびシミュレーションも併用して、強く特異的な結合がどのようなメカニズムで達成されたのかを考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により旅費の支出が生じなかったため。状況が改善した場合には本年度分の旅費に充当し、改善が見込めない場合は(充足率100%として仮定し)申請段階にて計上を行っていた消耗品などに充てる。
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