研究実績の概要 |
2023年度は、アンモニア-Ugi反応を用いた非天然型α,α-2置換アミノ酸含有ペプチドの新規効率的合成法の開発に重点的に取り組んだ。具体的には、第一段階目のアンモニア-Ugi反応によって非天然型α,α-2置換アミノ酸含有トリペプチドをワンポットで合成し、続いて2段階の分子変換を経たのち、第二段階目のアンモニア-Ugi反応を行うことによって、非天然型α,α-2置換アミノ酸含有ペンタペプチドを得た。各段階のアンモニア-Ugi反応では、非天然型α,α-2置換アミノ酸ユニットを構築しつつ、一度に2アミノ酸残基を伸長することができた。全体として、縮合剤を一切用いることのない効率的な非天然ペプチド合成法を開発することができた。 本研究期間全体を通して得られた研究成果は、次の通りである。1)複数の天然物抽出物を基質としたUgi反応を行うことにより、起源の異なる複数の天然有機分子が反応して同一分子に結合した天然物コネクティッド型分子群の初の一挙合成、並びに未開拓天然有機分子の発掘を達成した。2)これら天然物コネクティッド型分子のいくつかが、α-キモトリプシン阻害活性あるいは栄養飢餓耐性膵臓がん細胞に対する抗がん活性を示すことを見出した。3)研究当初には想定していなかった研究展開として、これまで難攻不落とされてきたアンモニア-Ugi反応が効率的に進行する反応条件を見出し、非天然型α,α-2置換アミノ酸誘導体および非天然型α,α-2置換アミノ酸含有ペプチドの効率的合成法を確立することができた。
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