研究課題
本年度は、アルキンタグを導入した第二のアルキン型PALプローブによるSMS2釣り上げ実験をSMS2過剰発現細胞(総タンパク量 600ug)において実施した。評価方法は光ラベル後にクリックケミストリーによるビオチン導入を行い、アビジン精製、SDS-PAGEを実施した後、SMS2に導入してあるFLAGタグの抗体検出によって行なった。結果、PALプローブの有無によりSMS2の分子量である40-50KDa付近に強度に差がある2本のバンドを確認した。また競合剤を加えたサンプルについては若干のバンド強度低下が確認された。このバンド群をゲル内消化し、MS/MS測定に供したところSMS2の釣り上げができていることを確認した。しかし、SMS2の釣り上げに成功はしているもののPALプローブの結合部位については特定するまでには至らなかった。これはSMS2の絶対量の低さが原因と考えられ、SMS2過剰発現細胞量を増やし(総タンパク量 1.5 mg)釣り上げ実験を実施したが、同様の結果となり、現在、結合部位特定までには至らなかった。今後は昆虫細胞を用いたより多くの過剰発現を行うことで大量のSMS2の獲得を目指し、SMS2とPALプローブの結合部位特定研究の継続を予定している。また未知のタンパク構造をその相同性や類似性から予測可能なAlfaFold2を用いて独自開発したSMS2阻害剤群とのドッキングポーズシュミレーションについても検討を行なった。その結果、結合部位は膜貫通領域3-4近傍が可能性の高い結合部位候補とされたが、その他30箇所ほどの候補があることから、現時点ではAlfaFold2予測もまだ信憑性が低い。従って、さらなる信憑性を高めるためPALによる結合部位解明が必要とされる。
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