研究課題
様々な非天然型アミノ酸を含むことで特殊な立体構造を形成(フォルダマー)する中分子ペプチド医薬品の開発が活発化している。これらのペプチドは、従来の医薬品では達成できなかった治療効果が期待でき、化学合成による製造が可能でコストの問題を回避できることから、次世代の医薬品モダリティのひとつとして期待されている。それらのペプチドの立体構造に着目すると、環状構造、あるいは安定なヘリカル構造を形成できる中分子ペプチドの開発が盛んである。特に、ヘリカル構造はDNAや他のタンパク質を認識する上で重要な役割を果たしているため、安定なヘリカル構造を形成できるペプチドの合理的設計は高機能中分子医薬品を開発する上で重要なアプローチのひとつである。本研究では、ヘリカル構造制御のビルディングブロックとして汎用されるα,α-ジ置換アミノ酸、β-アミノ酸、アミノ酸側鎖架橋(ステープル)等を組み合わせることで、高度かつ精密にヘリカル構造を形成できるペプチドの開発とそれらを利用した創薬研究、すなわち、「革新的中分子医薬品創出を目指したペプチドフォルダマー研究」を行うことを目的とした。令和3年度は、WntシグナルにおけるTCFとβ-カテニン複合体の形成が転写活性化を引き起こし、多くの発がんに寄与していることに着目し、TCFとβ-カテニン複合体形成を阻害する中分子ペプチドの開発を行った。10数種類のペプチドを設計・合成し、タンパク質レベルでの結合活性評価、及び細胞を用いた生理活性評価を行い、Wntシグナル経路に特異的な阻害剤になり得るリードペプチドを見出した。
2: おおむね順調に進展している
In silicoによるペプチドの合理的デザイン手法、タンパク質の発現・精製手法、細胞評価系の確立を達成できたことから、次年度以降の研究をスムーズに遂行できるため。
本年度確立した各評価系を活用し、リードペプチドの構造最適化、細胞レベルで強い活性を有するペプチドを見出す。
一部、類似した研究が新たに採択されたため、共通の消耗品として物品の購入ができたため、また、オンサイトでの学会がなく旅費使用がなかったため、次年度使用額が生じた。これらの研究費については、次年度に行う研究の消耗品、その他(論文投稿費等)で使用する。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (23件) (うち査読あり 23件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (46件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件) 産業財産権 (1件)
Bioorganic & Medicinal Chemistry
巻: 49 ページ: 116425~116425
10.1016/j.bmc.2021.116425
Journal of Medicinal Chemistry
巻: 64 ページ: 15868~15882
10.1021/acs.jmedchem.1c01206
International Journal of Molecular Sciences
巻: 22 ページ: 8772~8772
10.3390/ijms22168772
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters
巻: 48 ページ: 128259~128259
10.1016/j.bmcl.2021.128259
Synthesis
巻: 53 ページ: 4449~4460
10.1055/a-1548-8362
Journal of Peptide Science
巻: 27 ページ: e3360
10.1002/psc.3360
Chemical and Pharmaceutical Bulletin
巻: 69 ページ: 872~876
10.1248/cpb.c21-00289
YAKUGAKU ZASSHI
巻: 141 ページ: 961~970
10.1248/yakushi.21-00010
Frontiers in Chemistry
巻: 9 ページ: 674967
10.3389/fchem.2021.674967
巻: 43 ページ: 128052~128052
10.1016/j.bmcl.2021.128052
巻: 69 ページ: 573~580
10.1248/cpb.c21-00160
Molecules
巻: 26 ページ: 444~444
10.3390/molecules26020444
巻: 39 ページ: 127850~127850
10.1016/j.bmcl.2021.127850
Results in Chemistry
巻: 3 ページ: 100124~100124
10.1016/j.rechem.2021.100124
ChemMedChem
巻: 16 ページ: 1226~1233
10.1002/cmdc.202000940
Molecular Cell
巻: 81 ページ: 1411~1424.e7
10.1016/j.molcel.2021.01.023
ACS Medicinal Chemistry Letters
巻: 12 ページ: 236~241
10.1021/acsmedchemlett.0c00605
巻: 69 ページ: 211~217
10.1248/cpb.c20-00824
HETEROCYCLES
巻: 103 ページ: 502~502
10.3987/COM-20-S(K)26
Methods Mol. Biol.
巻: 2365 ページ: 331~347
10.1007/978-1-0716-1665-9_18
巻: 141 ページ: 591~598
10.1248/yakushi.20-00237
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters
巻: 32 ページ: 127713~127713
10.1016/j.bmcl.2020.127713
巻: 16 ページ: 458~462
10.1002/cmdc.202000567