研究課題
様々な非天然型アミノ酸を含むことで特殊な立体構造を形成(フォルダマー)する中分子ペプチド医薬品の開発が活発化しており、ニューモダリティのひとつとして期待されている。本研究では、ヘリカル構造制御のビルディングブロックとして汎用されるα,α-ジ置換アミノ酸、β-アミノ酸、アミノ酸側鎖架橋(ステープル)等を組み合わせることで、高度かつ精密にヘリカル構造を形成できるペプチドの開発とそれらを利用した創薬研究、すなわち、「革新的中分子医薬品創出を目指したペプチドフォルダマー研究」を行うことを目的とした。令和4年度は主として、高活性の新規アンチセンス核酸医薬品の開発を目指して、種々のα,α-ジ置換アミノ酸を導入したヘリックス型膜透過性ペプチドおよびモルフォリノ核酸とのコンジュゲート化合物を合成し、それらのアンチセンス活性の評価を行った。その結果、環状α,α-ジ置換アミノ酸Ac5cを導入した膜透過性ペプチドとPMOのコンジュゲート化合物が高いアンチセンス活性を示すことが分かった。次に、コンジュゲート化合物のアルギニン残基の立体配置を変えることでペプチドのヘリックス構造を不安定化させたコンジュゲート化合物を設計し、ペプチドの二次構造がコンジュゲート化合物の細胞内取り込み量およびアンチセンス活性に与える影響を精査した。その結果、ペプチド部分のヘリックス構造を安定化させることでコンジュゲート化合物が高い効率で細胞内に取り込まれ、また、エンドソーム脱出を促進させたような条件下においては細胞内取り込み量の向上に伴ってアンチセンス活性が向上することを明らかとした。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、研究を遂行し論文として発表することができた。
R3、R4年度の成果であるPPI阻害ペプチド開発、DDSキャリアペプチド技術を用いて、細胞内の疾病関連タンパク質を標的とした転写阻害剤開発へと応用する。また次年度が最終年度であることから、これらの研究成果を学術雑誌へと投稿する。
一部、類似した研究が新たに採択されたため、共通の消耗品として物品の購入ができたため、また、オンサイトでの学会がなく旅費使用がなかったため、次年度使用額が生じた。これらの研究費については、R5年度に行う研究の消耗品、その他(論文投稿費等)で使用する。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (20件) (うち査読あり 20件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (70件) (うち国際学会 7件、 招待講演 5件) 図書 (4件)
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