研究課題/領域番号 |
21K05327
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
野村 美加 香川大学, 農学部, 教授 (50294749)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | SNARE / スプライスバリアント / 根粒 / 花粉管伸長 / 共生 / マメ科植物 |
研究実績の概要 |
根粒菌がマメ科植物に感染すると根粒器官を形成し、共生窒素固定を行う。申請者は、根粒形成・窒素固定形成のための膜輸送に関与するLjSYP132sは、選択的スプライシングによりスプライスバリアント(LjSYP132aとLjSYP132bと名付けた)を生産し、LjSYP132aは感染糸からシンビオゾームへ到達する根粒形成メカニズムに、LjSYP132bは花粉管が伸長して受精の場へ到達する種子形成メカニズムに関与していることを見出した。 本研究では、マメ科植物ミヤコグサのSNAREタンパク質であるLjSYP132sに着目し、1)スプライスバリアントの発現局在性、2)機能相補性、3)スプライシングに必要なシス領域、を明らかにする。本研究課題では、LjSYP132sのシス領域の決定まで計画しているが、将来的にはLjSYP132sに結合するスプライシング制御因子を同定することで選択的スプライシングの全容の解明につなげることを目的とした。 細胞内局在性は、FLAGタグをつけたLjSYP132aとLjSYP132bを作成した。また、膜貫通領域が欠損したコンストラクトも作成した。その結果、LjSYP132aは感染細胞での発現が強く観察された。また、LjSYP132aもLjSYP132bも非感染細胞での発現が確認できた。この結果からLjSYP132a/bは感染細胞での物質輸送のみならず非感染細胞での物質輸送に関わっていることが示唆され、これまで予想しなかった新たな結果が得られた。また、RNAi形質転換体やLORE1変異体の結果から、LjSYP132bの発現が減少するとLjSYP132aの発現が増加することが明らかとなった。このようなメカニズムが初めて明らかになり、非常にスプライスバリアントのメカニズムを解明する上ではマメ科植物以外でも同じようなメカニズムを持つことも考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はFLjSYP132aとLjSYP132bのFLAGタグコンストラクトの作成、その局在性を確認することができた。またLORE1変異体を用いた解析、RNAi遺伝子発現抑制変異体は計画通り進んでいる。LORE1ホモ種子が十分とれていないので相補実験はできていないが、次年度計画予定であったLjSYP132aとLjSYP132bスプライスバリアントの発現メカニズムが明らかになってきた。この結果から当初の計画通り概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は概ね計画通り進行することができた。予想外にもLjSYP132は非感染細胞での発現が確認された。これは、FLAG-タグを用いた細胞内局在性は過剰発現させたためという可能性もある。それを確認するためにプロモーターGUSコンストラクトでも確認を行う予定である。LORE1変異体はホモ種子がとれていないので引き続き、ホモ種子の検索を行う。ホモ種子がとれない場合にはヘテロ種子やRNAi毛状根形質転換体に関しては再現性を確認する方向で行く。非感染細胞での発現が再確認できればどのような輸送系の発現を制御していくのか調べていく予定である。
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