自然環境の発酵過程の菌叢中に存在する物質であるアグマチンは、分裂酵母において、鋭敏な遺伝子発現を誘導するメディエーターであることが分かってきた。誘導されるタンパク質の一つであるアグマチナーゼは、ポリアミンの前駆体であり、DNAやRNAの転写制御、続く翻訳過程にも影響を与える生理活性物質である。本研究でアグマチナーゼは、ゴルジ体膜に局在し、不要になると速やかに液胞へ輸送される、制御された局在化機構を示すことも分かってきた。プロモーター領域もアグマチン添加時に発現が誘導されることが分かり、下流に任意の遺伝子をつなぐことで、人為的に発現量を制御でき、基礎・応用的な利用が可能であることが分かってきた。
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