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2021 年度 実施状況報告書

グルコースによる糖代謝酵素のタンパク質Argリン酸化制御機構とその意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K05349
研究機関東海大学

研究代表者

小倉 光雄  東海大学, 海洋研究所, 教授 (80204163)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードグルコース / リン酸化Arg / 細胞内Mn2+濃度
研究実績の概要

グルコース(Glc)は、リン酸化Argの脱リン酸化酵素遺伝子ywlEを誘導し、YwlEはArg修飾タンパク質を安定化する。この誘導メカニズム解明のため、transposon(Tn)挿入を考え、YwlE-lacZを持つ株にTnを導入したが、この株のTn転移頻度は通常株の数%しかなく実用的ではなかった。そこで、YwlE上流にMn2+排出ポンプ相同タンパク質の遺伝子が存在し、グルコースでその発現が低下するため、ywlE誘導とMn2+の関係に注目した。Mn2+恒常性維持は、Mn2+が活性化する転写因子MntRがMn2+取込みポンプ(MntH, MntABCD)と排出ポンプMnePを制御することで達成される。Glcは細胞内Mn2+濃度を約2倍増大させ、mnePを破壊するとGlcなしでもMn2+濃度とywlEが誘導されたので、Mn2+濃度上昇がywlEを誘導する事が示唆された。枯草菌のArg生合成系制御因子AhrCは転写因子CcpN経由でGlcに応答することが知られており、ahrC破壊の効果を検討したところ、ywlE発現とMn2+濃度のGlc誘導がほぼ消失した。従って、AhrCに制御されGlcに応答する未知のMn2+ポンプが示唆された。そこで、ahrC破壊株で野生株との比較RNA-seqを行い、460を超える標的を見出した(>x4, <1/4)。AhrC制御でポンプとみられるタンパク質遺伝子のうちGlcに応答性でywlE発現に影響する2つの候補(排出型ABC輸送体とMntR抑制性の金属イオン取込みfamily遺伝子)を得た。排出型ABC輸送体破壊株では、Mn2+濃度がGlcなしで3倍程度上昇していた。また、後者を人為的に誘導すると、mntHを誘導したのと同程度のMn2+濃度上昇が観察された。従って、前者は、Mn2+排出ポンプであること、後者は取り込みポンプであることが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ywlE遺伝子のグルコース誘導機構については大いに進展した。しかし、解糖系酵素へのArgリン酸化の検討は、あまり進んでいない。当初、ピルビン酸脱水素酵素を材料に検討を開始したが、酵素遺伝子に少しでも人為的操作を加えると、生育速度に大きな負の影響が出てしまい、進展を見ることはできなかった。

今後の研究の推進方策

引き続き、細胞内Mn2+濃度を変動させる新規なポンプ遺伝子について解析を進める。また、RNA-seq解析で新たに見出した標的遺伝子プロモーター領域への精製AhrCタンパクを用いたDNA結合解析実験を行う予定である。RNA-seq解析はMntRについても行なったので、新規な標的遺伝子について同様なDNA結合解析実験を行う。

次年度使用額が生じた理由

繰り越し金の発生理由は、当初予定より消耗品の支出が少なかったためである。比較的少額でもあるので次年度の消耗品費に充当する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Identification of transposon-inserted mutations including rnpB::Tn that abolished glucose induction of sigX encoding extracytoplasmic function-sigma factor in Bacillus subtilis2022

    • 著者名/発表者名
      Mitsuo Ogura
    • 雑誌名

      Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry

      巻: 86 ページ: 282-285

    • DOI

      10.1093/bbb/zbab211

    • 査読あり
  • [雑誌論文] RNA-seq analysis identified glucose-responsive genes and YqfO as a global regulator in Bacillus subtilis2021

    • 著者名/発表者名
      Yu Kanesaki, Mitsuo Ogura
    • 雑誌名

      BMC Research Notes

      巻: 14 ページ: 450

    • DOI

      10.1186/s13104-021-05869-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 枯草菌でグルコースはArg生合成系制御因子AhrC依存的に細胞内Mn2+濃度を上昇させる2022

    • 著者名/発表者名
      小倉光雄、松谷峰ノ介、朝井計、鈴木道生
    • 学会等名
      日本ゲノム微生物学会

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公開日: 2022-12-28  

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