研究課題/領域番号 |
21K05349
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小倉 光雄 東海大学, 海洋研究所, 教授 (80204163)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 転写因子 / マンガンイオン輸送 / RNA-seq解析 / DNA結合 / 転写制御 |
研究実績の概要 |
グルコース存在下でのahrC破壊株とmntR破壊株について、野生株を対照とした比較RNA-seq解析をN=4で実施した。その結果、ahrC株について、FDR, <0.05, log2[FC], 1の条件で、従来知られていたarg-boxを持つ8転写単位に加えて1176遺伝子を検出した。同じ条件でmntR株について、既知のマンガン輸送遺伝子7に加えて、1316遺伝子を検出した。予想していなかったが、ahrC制御候補遺伝子とmntR制御候補遺伝子は互いに3割程度重複していた。RNA-seq解析では往往にして偽陽性を標的遺伝子として検出してしまうことが知られているので、ahrC制御候補オペロンのプロモーターを15、mntR制御候補オペロンのプロモーターを19選び、両転写因子による制御を各プロモーターのlacZ fusionを作成・使用してグルコース存在下で検証したところ、全てについてその制御を確認した。なお14プロモーターについては、ahrC, mntR両方で制御されていた。ahrCについては、カリウムイオンとマグネシウムイオン輸送に関わる遺伝子とヒスチジンなどのアミノ酸生合成遺伝子のプロモーターが含まれていた。また、mntRについては、鉄イオン輸送に関わる遺伝子とアルギニンなどのアミノ酸生合成遺伝子のプロモーターが含まれていた。両方ともspoIIEなどの胞子形成遺伝子をも制御していた。さらに精製AhrCとMntRタンパク質を用いて、これら転写因子が直接に上記の標的プロモーターに結合するか否かをEMSAにて検討した。その結果、AhrCについては新たに5プロモーター、MntRについては新たに12プロモーターについて直接の結合を観察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RNA-seq解析で、AhrCとMntRについて、新たな標的をゲノムの1/4程度の遺伝子について同定した。両転写因子が、従来考えられていたような狭い生理的役割に止まらず、広くイオン輸送を介してその恒常性に貢献している可能性が示唆された。したがって、2022年度研究において新たな知見を得ているので概ね順調に進行していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
新たにマンガン輸送に関わることが明らかになったycsF遺伝子を含むオペロンは、7遺伝子からなり、うち3つは5-oxoproline代謝に関わる遺伝子で、1つはこのオペロンの転写を抑制する転写因子kipRをコードしている。そして、従来の研究で転写因子TnrAとKipRがこのオペロンを制御していることが知られていて、本研究で新たにグルコース誘導に関わる転写因子CcpAとAhrC, MntRにも制御されていることがわかった。これらの転写因子によるycsF遺伝子を含むオペロンの転写制御について、その全体像をあきらかにする。さらにこのオペロンのマンガンによる転写制御があるかどうか、もしあるならばその機構をも明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
RNA-seq関係は東京農業大学ゲノムセンターとの共同研究として行ったので、比較的消耗品の使用が少なかったので次年度使用額が発生した。該当金額は主として試薬等の消耗品購入に使用予定である。
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