研究課題/領域番号 |
21K05403
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
加藤 康夫 富山県立大学, 工学部, 教授 (20254237)
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研究分担者 |
野村 泰治 富山県立大学, 工学部, 教授 (40570924)
荻田 信二郎 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (50363875)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 有用物質生産 / 生物活性物質 / 植物培養細胞 / 精密代謝改変 / 合理的代謝フロースイッチング |
研究実績の概要 |
申請者らは、植物培養細胞を宿主とした遺伝子組換えによる物質生産の効率を飛躍的に向上させる基幹技術として、「合理的代謝フロースイ ッチング」という手法を提唱している。本研究では、同手法の原理で遺伝子組換えした植物培養細胞の二次代謝生合成系に精密改変(ファインチューニング)を施し、同手法における超高効率な物質生合成システムを構築する。具体的には、1. 生合成中間体生成レベルの向上、2. 目的代謝産物の配糖化の制御、3. 培養条件の最適化、を理論立てて施すことで生成物の構造および生合成能を高度に制御することを目的とする。宿主としては、申請者らによって樹立され、物質生産宿主として極めて高い能力を有することが分かっているタケ培養細胞を用い、ヒドロキシ安息香酸やビニルフェノールといったフェニルプロパノイド由来高機能物質の配糖体を生産ターゲットとする。 当該年度は、1)ヒドロキシベンズアルデヒド/ヒドロキシ安息香酸類の生合成を目的とした、hydroxycinnamoyl-CoA hydratase/lyase (HCHL)、および 2) ビニルフェノール類の生合成を目的とした、phenolic acid decarboxylase (PDC) を各々過剰発現するタケ培養細胞株を各種培養条件下で培養し、培養ステージ毎に各組換え株の代謝産物を精査することで顕著に蓄積された化合物を特定し、それらの単離構造解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)ヒドロキシベンズアルデヒド/ヒドロキシ安息香酸類の生合成を目的とした、hydroxycinnamoyl-CoA hydratase/lyase (HCHL)、および 2) ビニルフェノール類の生合成を目的とした、phenolic acid decarboxylase (PDC) を各々過剰発現するタケ培養細胞株を各種培養条件下で培養し、培養ステージ毎に各組換え株の代謝産物を精査することで蓄積する化合物を同定し、単離・構造決定を行い、 このものが「合理的代謝フロースイッチング」により新たに生合成された化合物であることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
単離構造解析されたHCHLおよびPDCを各々過剰発現するタケ培養細胞株が顕著に蓄積する化合物の標品の化学合成を行うとともに、これらの生合成前駆体を推定してフィード実験等を行う。また、蓄積されるマイナー化合物についても単離・構造解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の遺伝子組換え実験用試薬が欠品し納期が遅れたため。次年度は計画通りに使用する予定である。
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