研究課題
本研究では、特異かつ高度に歪んだ架橋型多環性骨格を合成して、生理活性の詳細が未だ明らかにされていない希少天然有機化合物の収束的な化学合成と系統的な構造活性相関研究を目的としている。具体的には、植物寄生性農害虫であるジャガイモシスト線虫の孵化機構において重要な因子であり、高度に歪んだシクロブタン骨格を含むソラノエクレピンAの合成研究を行う。ソラノエクレピンAは、三員環から七員環までの全ての炭素環からなる非常に特異な化学構造を有している。特に、生理活性発現に必須であると考えられる右側部分は、連続する不斉四級炭素を含み高度に歪んだシクロブタンからなるトリシクロ[5.2.1.01,6]デカン(DEF環)であるため、その合成は極めて挑戦的である。この本研究では、4-exo-trig型ラジカル環化反応を機軸として、高度に多官能基化されたシクロブタンを含む特異な架橋型多環性骨格の効率的な合成法を確立すると同時に、収束的な合成経路の開発によってソラノエクレピンAおよびその関連化合物(構造単純化アナロクグ)の化学合成による量的供給を目的としている。さらに、ソラノエクレピンAの合成経路を確立した後は、シスト線虫孵化促進活性を保持した単純化アナログの設計を目指す。一部の環構造や官能基を省略した構造単純化セグメントを左右それぞれ用意し、系統的な誘導体(右側あるいは左側単純化アナログ)を合成する。系統的な構造活性相関研究を展開することで、孵化の分子機構解明とシスト線虫駆除剤のリード化合物の創出を目指す。左右セグメントの連結および七員環(C環)の構築法を検討するため、四環性モデル化合物で条件検討を試みた。検討の結果、分子内アルドール反応によって七員環の構築にも成功し四環性モデル化合物の合成に成功した。
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