研究課題/領域番号 |
21K05412
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
清田 洋正 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (30234397)
|
研究分担者 |
ヴァヴリッカ クリストファー 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20809199)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | インフルエンザ / 新型コロナ疾患 / シアリダーゼ / アビガン / レムデシビル / 核酸塩基 / スルホシアル酸 / RNAポリメラーゼ |
研究実績の概要 |
1.インフルエンザ治療薬リードの開発 1)ホスホン酸誘導体:シアル酸から導いたホスホン酸誘導体に対し、高圧水銀ランプを用いた光反応でアノマー位へのC=Cの導入に成功した。Selectfluor処理によりフルオロヒドリン異性体混合物を得、さらにDASTでジフルオロ体に導いた。アノマー位クロロ化ホスホン酸の合成を行った。2)スルホン酸誘導体:アノマー位に脱離基を導入した誘導体の合成研究を行った。グルカール型スルホン誘導体の環状C=C結合の異性化、アノマー位を直接ハロゲン化する方法等を検討した。 2.新型コロナウィルス疾患治療薬リードの開発 1)アビガン塩基部分:昨年度確立したアビガン合成経路の再検討を行った。中間体のヒドロキシ基のアセチル化による活性化、Sandmeyer反応など試みたが工程の効率化には至らなかった。3-Hydroxypyradine-2-carboxamideをDMF中selectfluorで処理することで、6-位に直接フルオロ基を導入することに成功した。昨年度追試験により確立した既知合成経路を3工程に短縮できた。 2)レムデシビル:塩基部分:昨年度確立した合成経路により基質供給を行った。Pyrroleから5工程約50%収率でヨード基をもつレムデシビル塩基部分を調製した。リン酸部分:グリシンエステルのリン酸アミド中間体の合成を行った。 3)糖部分:昨年度合成したD-Riboseの1-O-メチル-3,5-ジシロキサン型環状エーテルを出発原料とし、2-位をPummerer転位でMTMオキシ基化した誘導体を合成した。また、2-位をカルボニル化した後、MeLiを反応させて2-メチル-2-ヒドロキシ基体を得ることに成功した。本基質に各種塩基部分を導入後、リン酸エステル化することで、レムデシビル・アビガン誘導体を調製可能である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年春から現在に至るまで、新型コロナ感染拡大のため、大学本部より登校の禁止または在室時間と人数の制限が敷かれており、十分な実験研究を実施できていない。そのため予定より遅れている。 1.インフルエンザ治療薬リードの開発・ホスホノシアル酸ジフルオロ型誘導体のアノマー混合物の合成に成功した。・ホスホン酸モノクロロ型の合成に成功した。・スルホンアミドアノマー混合物の合成に成功した。・スルホン酸ハロゲン化誘導体の合成を検討中である。 2.新型コロナウィルス疾患治療薬リードの開発・アビガン塩基部分の効率的合成に成功した。・ヨード置換したレムデシビル塩基部分の合成に成功した。 ・グリシンエステルのリン酸アミド中間体の合成が進行中である。 ・アビガン、レムデシビルに共通な糖部分の重要中間体(2位の各種修飾)の合成に成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
1.インフルエンザ治療薬リードの開発 ・ホスホノシアル酸ジフルオロ型アノマー混合物の分離精製およびシアリダーゼ阻害活性試験。・ホスホノシアル酸2αクロロ型化合物の試料供給とおよびシアリダーゼ阻害活性試験。・スルホンアミドアノマー混合物の分離精製およびシアリダーゼ阻害活性試験。・ホスホノシアル酸ジフルオロ型化合物の合成。 2.新型コロナウィルス疾患治療薬リードの開発・従来薬と異なる糖部分化合物の合成・アビガン(塩基)レムデシビル誘導体と上記糖部分の縮合によるヌクレオシド型薬の合成。・新型コロナ疾患の収束を踏まえた、他のウィルス性疾患に対応可能な類縁のRNAポリメラーゼ阻害剤の設計開発。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大への対応措置として、大学本部より登校の禁止または在室時間と人数の制限が敷かれており、十分な実験研究を実施できていなかった。そのため機器、消耗品、旅費を予定通り使用できず繰り越した。 今年度は制限も解除されたため、試薬やガラス機器などの消耗品費、学会発表等経費として残金を活用したい。
|