研究実績の概要 |
本研究は現代社会における食品添加物の暴露が特に不妊や認知症とどのように関連するのかを明らかにする一助とするために実施した。食品添加物であるエクスポソームの内分泌系(精子)と脳神経系への影響を明らかにし、それを予防することを目的とした。これまで単体で影響のあった食品添加物、アスパルテーム(甘味料), アセスルファムカリウム(甘味料)。オルトフェニルフェノール(防カビ剤), ビフェニル(防カビ剤), ビスフェノールA(プラスチック材料)を最大無毒性量(NOAEL)の1/10000で混合して与え、2週間および8週間で精巣および脳で酸化ストレスが惹起され、抗酸化物質のトコフェロール投与はそれらを予防できることを検証した。精子では2週間より活性酸素産生が上昇し、曲線運動などの受精に重要な運動機能の一部も有意に低下した。精巣(特に成熟精細菅)及び海馬においても酸化ストレスが遺伝子レベル(Dual Oxidase1 (Duox1)およびNADPH oxidase4 (Nox4))、タンパクレベル(JNKおよびERKのリン酸化)が上昇していることが判明した。また、これらの変化に関してトコフェロールが改善した。腸内フローラは、大きな変化はなく、トコフェロールも多様性(菌種数、構成菌種)には変化を与えないことが判明した。以上より、食品添加物による酸化ストレスが精子や記憶に影響を与えることが判明し、抗酸化物質摂取がそれを予防できる可能性が示唆された。
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