現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖質高分子のナノ粒子分散系において,分子構造の分岐-線状トポロジによる表現と物性変化を解き明かす方法の開発を進めた。澱粉ナノ粒子分散系の調製方法に従って,熱水場による微細化プロセス(反応温度:160, 165, 170, 175, 180℃)により5水準の澱粉ナノ粒子分散液を調製した。これらの試料について,SEC-LSを用いて回転半径(Rg),分子量,分子形状の分析を行った。160, 165, 170℃のプロセスにより調製されたナノ粒子分散液における微細化粒子には,アミロペクチン分岐構造が認められ,固有粘度測定の結果と対応させたところ今後の展開に活用できる興味深い知見が得られた。 タマネギ外皮に含まれているケルセチンを効率よく抽出する条件の検討について,加圧溶媒抽出法を用いてタマネギ外皮の処理を行い,得られた抽出液の可視光分光分析,質量分析を行った。これらの結果に基づいて最もケルセチン量の多く抽出できる溶媒組成(エタノール濃度52% v/v)や温度条件(140℃)を定めた。この条件によって調製した抽出液の定量ろ紙によるろ過,遠心分離,次いで,0.45 μmフィルタろ過による前処理を行い,この調製液のナノろ過を検討したところ上手くろ過分離ができなかった。ナノろ過装置に供給する抽出液の作成を,加圧溶媒法から熱水プロセスを用いる方法に変更して,機能性成分のナノろ過を行ったところ,透過液においては,ほぼ無色透明なろ過液が回収でき,ケルセチン以外の物質の除去とともに,純度の高められることが明らかになった。 また,半連続式亜臨界溶媒抽出による紅茶殻からのポリフェノールの実規模抽出についての課題を進め,論文掲載発表を行った。
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