研究課題/領域番号 |
21K05456
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
山下 広美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (70254563)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 酢酸 / GPR43 / 骨格筋細胞 / AMPK |
研究実績の概要 |
ヒト骨格筋におけるGPR43と酢酸によるその活性化作用について明らかにする目的で、昨年度の研究では、ヒト骨格筋細胞におけるGPR43の発現について解析し、ヒト骨格筋においてもGPR43が発現し、その発現レベルは細胞への酢酸処理により増加することが示唆された。本年度の研究では、ヒト大腿筋細胞における酢酸による骨格筋関連遺伝子の発現レベルの変化を解析した。分化誘導したヒト大腿筋培養細胞に酢酸またはGPR43アゴニスト処理後の骨格筋分化因子MEF2A、ミオグロビン、PGC1α、SDH、およびチトクロームc遺伝子の発現レベルを解析した。酢酸またはGPR43アゴニストを10分間処理すると、酢酸によりMEF2A、ミオグロビン、およびSDH遺伝子が有意に増加し、GPR43アゴニスト処理ではGPR43、MEF2A、ミオグロビン、PGC1α、SDH遺伝子が有意に増加していた。酢酸またはGPR43処理5分後のAMPKのリン酸化レベルを解析すると、酢酸処理において有意にAMPKのリン酸化が増加していた。GPR43アゴニストでは増加傾向であった。酢酸処理において有意に増加したAMPKのリン酸化がAMPK阻害剤で低下していた。酢酸処理5分後に、ミオグロビンおよびチトクロームc遺伝子の発現が有意に上昇し、AMPK阻害剤でその発現誘導が低下した。一方、酢酸またはGPR43アゴニスト処理により細胞内カルシウム放出が有意に増加した。以上より、ヒト骨格筋細胞においても酢酸は細胞内カルシウムレベルを上昇させ、AMPKを活性化させることにより、呼吸代謝関連因子の発現を誘導することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試薬等の調達にも遅れ等はなく、ヒト筋管細胞の分化も順調に進み、技術的にも問題は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に用いたヒト骨格筋細胞の大腿筋以外の骨格筋を用いて、骨格筋の種類によるGPR43の発現及び作用を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験試薬の特価時期に購入することができ経費を節約することができた。次年度に論文投稿料、学会発表等に使用する。
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