研究実績の概要 |
Equol(Eq)は、daidzeinから腸内細菌により合成される化合物であり、エストロゲン作用だけでなく、神経保護作用を有するため、認知症予防効果の可能性が指摘されている。本研究では、まず、EqおよびEq抱合代謝物7種全てを分析するためのLC-MS/MSを用いた一斉分析法を開発した。その分析法を用いて、マウス脳中に含まれるEq抱合代謝物を定量した。C57BL/6マウスにはEq (60 mg/kg/day)を1日2回3日間摂取させ、灌流後、脳を採取した。採取した脳を重量の10倍量アセトン/エタノール(1:1, v/v)を用い、超音波破砕にて抽出、その後固相抽出カートリッジを用い精製し、LC-MS/MSにて定量した。その結果、脳内において、Equol-7-sulfate(E-7-S)11.3 pg/mg、Equol-4’-glucuronide(E-4’-G)9.66 pg/mg、Equol-7-glucuronide(E-7-G)5.26 pg/mg、Equol-4’-sulfate(E-4’-S)2.88 pg/mg, Equol-7-glucuronide-4’-sulfate 2.14 pg/mgが存在することが明らかになった。さらに今年度は、それら抱合代謝物が神経保護作用を有するのかを検証するため、細胞実験を行った。初代培養にて生後0~4日目までのマウスの脳を摘出し、パパイン処理し、アストロサイトとミクログリアを得た。得られた細胞に、各Eq抱合代謝物を添加し、NOの抑制と細胞生存率を検討した。その結果、Eq抱合代謝物はNO抑制効果を有することが明らかになった。特に、Equol-7,4’-diglucuronide, E-7-S, E-4’-Gは、その抑制効果がEqよりも大きいことが示唆された。
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