研究課題/領域番号 |
21K05463
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
二村 恭子 藤田医科大学, 医学部, 講師 (60596956)
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研究分担者 |
中村 政志 藤田医科大学, 医学部, 客員准教授 (30449467)
下條 尚志 藤田医科大学, 医学部, 客員准教授 (70410751)
松永 佳世子 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80131192)
矢上 晶子 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90367699)
鈴木 加余子 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (90814369)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | GRP / PFAS / 重症果物アレルギー / スギ・ヒノキ花粉症 |
研究実績の概要 |
これまで花粉症に関係する果物や野菜のアレルギーは口腔アレルギー症状が主体であり、生命を脅かすものではないとされてきた。しかし一部の患者では全身症状が誘発される重症果物アレルギー症例が認められ、その代表的な原因食物は桃であることが判明した。近年、全身症状を伴うモモのアレルギーのアレルゲンコンポーネントの一つとしてgibberellin-regulated protein (GRP)が同定され、さらにスギ・ヒノキ花粉のGRPとの交差反応が示唆されるようになり、より重症な花粉-食物アレルギー症候群の新たな原因蛋白として注目が集まっている。 今年度までにプリックテストで原因果物とモモ抽出GRPに陽性反応を呈した症例は32例に達した。全例が花粉症を有し、花粉感作ではハンノキ・シラカンバ特異的IgE抗体クラス2以上は6例に過ぎなかったがスギ・ヒノキ特異的IgE抗体クラス2以上は30例(残り2例は未測定)であった。発症時の症状は眼瞼・顔面浮腫:17例、アナフィラキシー:9例などで、食物アレルギー診療ガイドラインによる重症度はグレード2以上:27例と比較的重症であり、運動など二次的要因後の発症は21例に認められた。また原因となる果物は複数回答で15種類に及ぶが、このうち天然果実由来GRPの提供が可能であったブドウやウメに対するアレルギー患者では、それぞれの果実由来GRPに対する皮膚テストやELISAを実施し特異的IgE抗体の陽性が確認できた。これらの症例における他の花粉食物アレルギー症候群に関するアレルゲンコンポーネントに対するプリックテスト陽性率についても明らかとなり、GRPが100%陽性に対して、PR-10陽性は16%,Profilin陽性は3%,LTP陽性も3%と比較的頻度が低い結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例は順調に集積しているが、対照となるグループが複数想定され、そちらの選定に時間がかかっている。しかし一旦検討を開始すればスムーズにデータが出る予定であり、問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に残された課題としては、まずGRP関連果物アレルギーと花粉感作の関係に対する検討があげられるが、採血データのある例では全例がスギ花粉特異的IgE抗体が陽性であるため、本年度より提供可能となったスギ花粉由来のGRPについて、ELISAでIgE抗体の評価を全例で行い、モモなどの果実GRP感作と花粉感作の、より直接的な関係性を評価する。さらにはプリックテストでPR-10のみ陽性のモモアレルギー例との比較も実施する予定である。 次に季節性花粉症を合併しているGRPによる食物アレルギー症例に対するスギ花粉舌下免疫療法の効果検討については、現在GRP陽性例でスギ花粉舌下免疫を行っている患者は希少であるが、少なくとも経時的な採血を行っている症例があるため、モモGRPに対するIgE抗体とIgG4抗体価の推移の解析を実施する。 また果物間の比較として他種のGRPの反応性を患者血清を用いたELISA等で検討した後に皮膚テストを実施・反応性を評価することで、実際の果実GRP間の交差反応性を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
モモアレルゲンコンポーネントに対するIgE抗体の解析において使用するキットの納品が年度にまたがったため、最終年度で購入し使用することになったため。
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