研究実績の概要 |
ウコンの根茎に含まれるでんぷんにはリン酸が豊富に存在し,馬鈴薯でんぷん同様にレジスタントスターチ(RS)の性質を持つ可能性が予想される。しかし、ウコンでんぷんの発酵性は分かっていないため、AIN93G基準食に春ウコンでんぷんを用量依存的(0,5,10,20,40%)に添加した食餌を7週齢のF344系雄ラットに2週間投与して腸内発酵能力を評価した。得られた結果は以下の通りである。1.ラットの成長に群間による有意な差異は観察されなかったが、内臓脂肪量(腎臓+精巣周囲脂肪)は用量依存的に減少傾向がみられた。2.1日当り糞便排泄量は用量依存的に増加し、特に20%以上添加群では顕著に高かった。また、5%添加群の一部のラットにおいて浸透圧性下痢がみられた。3. 大腸組織(盲腸+直腸)重量は用量依存的な増加がみられ、盲腸内容物重量も用量依存的に増加した。特に40%添加群で顕著に高かった。4.盲腸内容物重量あたりの有機酸、特に短鎖脂肪酸量は用量依存的に高かったが,コハク酸量は用量依存的に減少傾向がみられた。5。腸内容物のアンモニア窒素量は群間による差異は観察されなかったが、その濃度は用量依存的に減少傾向がみられた。以上の結果,ウコンでんぷんはRSとして消化されずに大腸へ到達して腸内細菌により発酵されるが,過剰摂取された場合は、多量のでんぷんが未発酵のまま糞便へ排泄され、ウコンでんぷんが完全に発酵される添加量としては10%ないし20%が適当であることが示唆された。
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