研究課題/領域番号 |
21K05485
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
増田 正人 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (60708543)
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研究分担者 |
鬼木 健太郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (00613407)
西 宏起 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (90845653)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 血中アミノ酸プロファイル / 自己組織化マップ / NASH/NAFLD / 標準化 |
研究実績の概要 |
15%カゼイン相当になるようにアミノ酸を含んだコントロール食、コントロール食から全てのアミノ酸を1/3量に減らした5AA食、一種類コントロール食からずつアミノ酸を1/3量に減らしたΔアミノ酸食を給餌したラットの血中アミノ酸濃度と肝臓の脂肪蓄積レベルを測定し、自己組織化マップ(SOM)による分類を行い、血中アミノ酸濃度による脂肪蓄積レベルを分類することができた。同様に新たにコントロール食、Δコリン食、Δアルギニン食、Δメチオニン食、Δアルギニン-コリン食、Δメチオニン-コリン食を給餌したラットの血中アミノ酸濃度と肝臓脂肪蓄積レベルを測定し、血中アミノ酸濃度を前述のSOMでプロットした。結果として、新たに採取したラットのデータではマップ上のほぼ同一の箇所に分類された。新たに測定されたラットの血中アミノ酸濃度を確認すると、同じコントロール食を給餌したラットにもかかわらず、全く異なったアミノ酸濃度が検出されていた。これはアミノ酸が酸化や還元、分解されたことによる濃度の変化(採取してから測定までの時間や保存状態による要因)や計測機器の測定誤差(成分分析機の違い)があると考えられる。これらの誤差を計測誤差と呼称し、計測誤差を緩和する標準化が必要である。この問題はヒト健康診断データでも生じ得る問題であるため、早急に標準化方法を確立する必要がある。現在、内部標準として使用できるタンパク質を模索中である。 同一実験回のデータでのSOMによる分類には問題ない。 システムとしてはMac OSによるアプリケーション化は順調に進んでおり、自己組織化マップの結果の可視化、および、新規データを入力時の分類結果の可視化が行えている。 ヒト健康診断データの収集は、約400名の人数が収集できた。また、健康診断とは別にNASH患者のデータとNASHでない方のデータを合わせて約100名分を収集することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデル動物実験の実施や血中アミノ酸濃度の測定、肝臓脂肪蓄積レベルの測定は予定通りに進められている。自己組織化マップを用いた血中アミノ酸プロファイルのみによる分類において、肝臓脂肪蓄積レベルが分類された結果も得られている。しかし、実験回または測定回による血中アミノ酸濃度の変化は問題としてある。標準化が行えればどのようなデータでも統一的に解決できると考えられる。自己組織化マップによる同一実験回のデータではどのデータを検証用データとして扱い、自己組織化マップを行っても期待する分類結果が得られており、自己組織化マップの問題ではなく、与えるデータの差異が大きな問題でる。よって、内部標準となる物質を決定し、それによって標準化するので、大きな問題ではないと考える。 ヒト健康診断データの収集は、約400名のデータの収集とNASH患者のデータの収集が行え、計画通りに進んでいる。 システム開発についてはMac OSでのアプリケーション化が十分に進み、Windows OSでのアプリケーションの開発を視野に入れ出しところである。まだ、Windows PCを用意できていないので、これからの開発となるが、Mac OS版のアプリケーションを流用する形で開発を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
今後はデータの安定的分類のために、データの標準化作業を行う。内部標準となる物質を血中アミノ酸濃度との相関係数で求めることを考えているが、血中アミノ酸同士の割合を使用することも視野に入れいる。早急に標準化について検討・解決をする。 システム開発については、Windows OS用のアプリケーションが手付かずではあるが、Mac OS用のアプリケーションをある程度流用可能なため問題ない。Windows OSの開発環境を今後整えて、システム開発を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はコロナ禍によりミーティングのための旅費が使用できなかった。 また、今年度PC(Mac book pro)を購入予定だったが、動物実験費用が多くなり、購入を断念した。 次年度のPC購入費に充てる予定である。
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