研究課題/領域番号 |
21K05487
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
真鍋 祐樹 京都大学, 農学研究科, 助教 (20730104)
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研究分担者 |
毛利 晋輔 京都大学, 農学研究科, 特定助教 (60836625)
菅原 達也 京都大学, 農学研究科, 教授 (70378818)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | カロテノイド / プロビタミンA / 抗炎症作用 / インターフェロン制御因子 / 多変量解析 |
研究実績の概要 |
カロテノイドは天然の暖色系脂溶性色素である。疫学調査などによって、血液中の代表的なカロテノイドの濃度と動脈硬化のリスクの逆相関が見出されており、カロテノイドは私たちの健康増進に寄与する食品成分と考えられている。一方、生体内では様々な要因によって炎症反応が引き起こされ、動脈硬化の進展においても、LPSなどの病原体成分、TNF-αなどの炎症性サイトカイン、さらには終末糖化産物など、様々な要因による炎症反応が関与する。そこで本研究では、このような多種要因に基づく炎症反応に対して、多種多様なカロテノイドがどのような影響を与えるかを評価し、各カロテノイドの抗炎症プロファイルを作成する。さらに、この抗炎症プロファイルを多変量解析に供することによって、各カロテノイドの抗炎症作用の特徴を捉え、生体内で起こり得る炎症反応を総合して考えた場合に、真に強い抗炎症作用を示すカロテノイドを見出すことを目的としている。また、作用メカニズム既知の薬剤の抗炎症プロファイルを作成し、比較することによって、各カロテノイドの抗炎症作用メカニズムの推定を試みる。8種類のカロテノイドを用いたパイロット試験の結果からプロビタミンAカロテノイドとC8ケトカロテノイドに特徴的な抗炎症作用を見出したため、本年度は、単球様細胞株におけるプロビタミンAカロテノイドの代謝やC8ケト構造を有するカロテノイドの抗炎症作用を調べた。その結果、THP1-Dual細胞にプロビタミンAカロテノイドをレチノイドへと代謝する活性を見出した。また、C8ケトカロテノイドの抗炎症作用の特徴として、TLR1/2やTLR4によって誘導されるインターフェロン制御因子の抑制を見出した。これらの結果は、原著論文としてオープンアクセス誌で公開されるに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞実験に使用するプレートやピペット、チップなどの納期が遅れたため、培養細胞を使った実験の開始に遅れが出てしまった。しかしながら、研究実績の概要に記載の通り、パイロット試験の結果を拡充し、それらをまとめた論文が出版されるなど、一定の成果もあったと考えている。そのため、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、作用メカニズムがすでに明らかになっている薬剤の抗炎症プロファイルを作成し、カロテノイドのそれと比較することが肝となっている。薬剤の選定は昨年度に終え、化合物ライブラリーとして既に納品されているため、本年度はそれらの抗炎症プロファイルの作成に注力する。
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