研究課題/領域番号 |
21K05496
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研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
吉光 真人 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主幹研究員 (70321940)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 2Sアルブミン / 食用種子 / アレルゲン / LC-MS/MS / 消化 / ペプチド |
研究実績の概要 |
近年、くるみやカシューナッツ、大豆等の食用種子を原因とした即時型食物アレルギーの患者数が増加している。これらアレルギーの発症予防には、アレルゲン摂取量の制御が重要であり、そのためには効率的で信頼性の高い分析法が必要となるが、現在までにその報告例は少ない。 本年度は、大豆の2Sアルブミンファミリー(2S-AF)であるアレルゲンGly m 8について、分析法を検討し、大豆を原材料に含む様々な加工品に対して分析法を適用した。その結果、しょうゆ、みそ、豆腐、ちくわ、かまぼこ、ウインナー、カップ麺、菓子、大豆もやしでGly m 8が検出された。大豆アレルゲンのうち、穀粒での含有量が多いとされるGly m 5と結果を比較したところ、発酵食品であるしょうゆ、みそや、カップ麺、菓子では同程度に検出された。豆腐、ちくわ、かまぼこ、ウインナーでは、Gly m 8の検出濃度レベルが大きく、これらの食品において、Gly m 8の残存性が高い可能性が示唆された。一方、大豆もやしではGly m 8の検出濃度レベルは小さく、Gly m 5と比較して、もやしでの発現量が少ない可能性が考えられた。また、分析法の特異性確認のため、野菜類を分析したところ全て陰性であった。その他、入手した4種類のアレルゲン標準品:クルミJug r 1、ピーナッツAra h 2、カシューナッツAna o 3、ごまSes i 1についても、同様に分析条件を検討した。さらに、市販品の入手が困難なアレルゲン標準品を作製するため、大腸菌発現系や無細胞発現系の利用について情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2S-AFである大豆Gly m 8、クルミJug r 1、ピーナッツAra h 2、カシューナッツAna o 3、ごまSes i 1の計5種類の標準品を入手したが、それぞれの分析条件の検討に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
まず、患者数が増加しているクルミJug r 1、および検討が進んでいる大豆Gly m 8について、優先して分析法を確立する。その後、他の2S-AFに対する分析法を確立し、それらを統合して一斉分析法とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が遅れたため、予定通りに予算が執行できず、次年度使用が生じた。次年度は研究所の移転業務が予定されており、研究に取り組む時間の減少が予想される。そこで、研究内容を分析法の確立に絞り、効率的に研究を進める。
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