酵母は発酵環境でプロリン(Pro)をほとんど資化できない。過去の研究から、アルギニン(Arg)がPro資化抑制因子として働くことを判明しているが、その分子機構は解明されていない。まず、Arg以外の塩基性アミノ酸がPro資化能に及ぼす影響を検討した結果、オルニチンやリジンもPro資化抑制因子として働くことが分かった。次に、プロリン資化抑制に関与する遺伝子を探索したところ、ArgトランスポーターCan1をコードする遺伝子を見出した。Can1変異体の解析を進めた結果、Can1は「トランスセプター」として働き、外部の塩基性アミノ酸の感知することで、プロリン資化を抑制することが判明した。
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